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メガネ1つで誰でもVTuber、「VTUNER」の可能性 顔バレリスクなしも表情は硬め(2/2 ページ)

» 2021年12月02日 13時20分 公開
[谷井将人ITmedia]
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 もう一つ気になったのがモーションの固さだ。体の動きは滑らかに反映されるが、まばたきや口の動きは直線的で、目が開いている状態から閉じるまでを滑らかに再現するのではなく、開き・閉じ・開きとフレームが落ちたように動く。ウインクも難しそうだ。これが表情の硬さに拍車を掛けているようにも思う。これらはアプリの改修で改善できそうだ。

photo 口のモーションが“パキパキ”

 これらが「可能性は感じるがまだまだ頑張ってほしい」と感じた要因だ。

VTuberは参入ハードルがほぼなくなった

 2016年末にキズナアイさんが登場してからもう6年たち、今では何万人ものVTuberが存在しているという。当時は機材やコンテンツ制作体制の整った企業や、VRギークのような個人が手を出すものという印象もあったが、すっかり技術の低廉化が進み、参入ハードルがほぼなくなっている。もちろん、品質を突き詰めれば大掛かりな機材や技術力が必要になるが。

 今VTuberを始めるに当たって最低限必要な機材は、PCとWebカメラ、マイクのみだ。新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークの普及が進んだ今なら、新規に機材を集めるまでもなく始められる。ノートPCやスマートフォン1台でもできてしまう。

 そういう意味では約2万円のJINS MEMEとVTUNEはコストパフォーマンス面で見てかなり分が悪い。PCでVTuberを始める際、ちょっとこだわってWebカメラやUSBマイクを新たに買ったとしても2万円はかからない。

 手軽さの面でも突出している部分はない。JINS MEMEでアバターを操作するには、メガネを掛けて、アプリを起動し、BluetoothでスマホとJINS MEMEを接続する必要がある。手軽ではあるが、PCでも、ソフトを立ち上げてWebカメラをオンにすれば操作を始められる。

 現状、JINS MEMEとVTUNERを配信用機材として選ぶ理由はあまりない。しかし、今後のエンタメ分野を面白くする可能性は十分にある。ジンズはJINS MEMEで取得できるデータの仕様や取得方法についてドキュメントとWebAPIを公開している。SDK(ソフトウェア開発キット)は非公開だが、利用を希望する場合はサポートに問い合わせるよう案内している。

photo JINS MEMEで取得できるデータの仕様

 JINS MEMEで取得できるデータは体の動きだけでなく、集中度や眠さなどメンタルの状態を示すものもある。これらを活用すれば、これまでのVTuber用ソフトには無い機能や新たな企画の発明にもつながるだろう。APIやSDKの存在が広まることを切に願う。

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