京都府福知山市は、TouTubeの市公式チャンネルでアニメ「転生したら鬼退治を命じられました」を公開した。テレビアニメ「鬼滅の刃」の大ヒットを機に福知山市の大江地域に伝わる「大江山鬼伝説」をアピールする狙い。
大江山鬼伝説は、平安時代中期の武将・源頼光が「頼光四天王」と呼ばれる屈強な家臣を従え、丹波国大江山に棲む「酒呑童子」率いる鬼の一味を討伐する物語。アニメではごく普通の会社員が源頼光に転生するという今風のストーリーとし、作中には「特上呪物」が登場するなど、流行の要素をこれでもかと詰め込んだ。
表現手法も独特だ。福知山市内にある「日本の鬼の交流博物館」所蔵の絵巻物「酒呑童子絵巻」の絵に動きを加え、予告編をつなげて1つの作品を構成するという大胆な手法により、大江山鬼伝説を約6分50秒でだいたい描いた。
主人公・源頼光の声はアニメ「鬼滅の刃」の宇髄天元役で知られる小西克幸さんを起用。主人公を除く14人の登場人物は、多彩な声を持つ「両声類声優」こと奇跡(きせき)さんが担当した。福知山市は「奇跡の1人14役」としている。
斬新なアニメの登場に専門家も驚きを隠さない。「テンポも速く、シュールな展開に新しい時代の空気を感じた」と話すのは「世界鬼学会」の会長を務める佛教大学歴史学部教授の八木透さん。一方で鬼滅の刃と大江山鬼伝説の共通点を指摘する声も上がった。「チームによる鬼退治、元人間の鬼、首を切ってとどめを刺すという共通点から、頼光一行は元祖『鬼殺隊』と言ってもいいと思う」(歴史学者、静岡大学名誉教授の小和田哲男さん)。
福知山市は「大ヒットアニメ作品の影響で“鬼”への関心が高まる今、歴史上最強の鬼を退治した伝説(元祖鬼殺隊伝説)が残る大江地域の鬼文化をより多くの方々に知っていただきたい」とさりげなく元祖を主張。今後はふるさと納税サイト「さとふる」のクラウドファンディングを通じて30周年を迎えた「日本の鬼の交流博物館」への支援を募るなど市の資源として鬼を活用する。「鬼ブームの今こそ、鬼のまちの博物館30周年を“ド派手に”祝いたい」。
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