12月17日、JEITA(電子情報技術産業協会)は綱川智会長の記者会見で、電子情報産業の世界生産見通しを発表した。今回は公開された資料を基に、このコロナ禍の中で日本の電子情報産業のポジションはどう変化したのか、また今後はどうなっていくのかといったことを、掘り下げてみたい。
2021年は20年初頭から続くコロナ禍の中、“Withコロナ/Afterコロナ”といわれる生活様式の変化を受け入れる年となったことは間違いない。その変化の中で伸びた産業、伸びなかった産業があるわけだが、いずれにしても巣ごもり需要といった一時的な新規需要や需要変化は21年でいったん終了し、22年以降はこの生活が継続、定着すると見るべきだろう。
まずは2021年時点での電子産業における日系企業シェアを見てみよう。
世界生産額に対して日系企業の占めるシェアは平均10%となった。分野別では電子部品やAV機器、その他電子機器に強みがあるものの、ソリューションサービスや通信機器ではあまりシェアが取れていない。
別の資料でもう少し細かく内訳を見ていくと、圧倒的にシェアが取れているのは撮像機器、映像記録再生機器、プリンタ、イメージスキャナー/OCR、カーAVC機器あたりになるが、これは世界のエレクトロニクス全体で見れば、それほどパイが大きくない分野ばかりである。
つまり2000年あたりからの高度デジタル化の波に乗れた分野ではいまだ強みを発揮しているものの、世界的に需要がある分野ではあまりシェアが取れていない。特にプリンタは金額ではAV機器を上回るが、これはデジタル情報をアナログ化するものであり、今後DXが進めばかなり先細る分野であろう。
ただ、最も生産額が大きい半導体分野でのシェア9%という数字は、評価できると思う。金額ベースでは電子部品の生産額も高い。電機メーカーも昨今は家電のような表舞台から降りて、裏方や専門分野に特化するところが増えており、堅調な分野へシフトしているのが分かる。
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