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電子・IT産業で存在感が出せない日本 コロナ特需落ち着く2022年に伸びる分野、細る分野小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)

» 2021年12月20日 16時38分 公開
[小寺信良ITmedia]

 世界的バランスを見る資料としては、「地域別生産/需要ウェイト(2021年見込み)」の資料も興味深い。電子機器で見れば、生産は中国が半分以上を占めているにもかかわらず、現地需要はその半分以下で、欧米の旺盛な需要を満たすために製造されているのが分かる。

photo 地域別生産/需要ウェイト(2021年見込み)

 一方で電子部品・デバイスをみるとアジア・パシフィック生産が半分以上で、中国の需要に対して供給している。つまりデバイス製造の主力はアジア・パシフィックであり、中国はアセンブル(組み立て)大国という図式が浮かび上がる。

 ソリューションサービスについては、国内で開発されたサービスが海外展開しているのはあまり聞いたことがない。ほぼ地産地消と考えるべきだろう。生産は欧米で6割超えだが、需要はさらに大きく75%超えである。足りない分を中国及びアジア・パシフィックが埋めているという状況が見てとれる。

 各分野の成長をここ10年で見ていくと、成長が見込める分野、縮小する分野が分かる。本格的なIT社会の到来を迎え、ソリューションサービスはここ10年で5ポイント増加しており、今後も成長が見込める分野だ。半導体も堅調に伸びを見せる一方、電子部品やディスプレイデバイスは、トータルでは横ばいに見える。

photo 世界生産額分野別構成比の変化

 一方でAV機器、コンピュータおよび情報端末は10年前から少しずつ細っている。金額ベースで見ているので、単価が下がったという見方もできるが、日本企業が高いシェアを占めるAV機器の細り具合は、なかなか深刻である。

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