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「やっぱり紙が好き」な浦沢直樹さん、電子書籍化を条件付き解禁 28日から「YAWARA!」など

» 2021年12月28日 11時39分 公開
[ITmedia]

 「YAWARA!」などで知られる漫画家の浦沢直樹さんは12月28日、自身のYouTubeチャンネルで作品の電子書籍化を発表した。「20世紀少年」など7作品を28日から販売する。ただし電子書籍化にあたり、小学館にいくつかの提案をしていた。

 初回の配信作品は「YAWARA!」「JIGORO!」「20世紀少年」「21世紀少年」「くしゃみ 浦沢直樹短編集」「夢印」「あさドラ!」。紙版の「あさドラ!」6巻発売に合わせ、28日から各配信サイトで販売する。第2弾として2022年2月末に「MONSTER」「描いて描いて描きまくる」を追加する。

電子書籍化を報告する漫画家の浦沢直樹さん(YouTubeより)

 浦沢直樹さんは“見開き”など紙の雑誌を前提とした演出にこだわり、これまで電子化を避けていた。しかし「そうも言ってられない今日この頃」。自身が小学館マンガ賞の新人賞を受賞してから40年の節目に電子化を解禁した。

 ただし電子化にあたりいくつかの条件を付けた。1つは自身でデザインした「見開き読み推奨!マーク」を作品の冒頭に掲載し、演出の意図を読者に伝えること。マークは漫画家なら誰でも自由に使えるようにする。

 「スマホで片方のページだけ見ていると(読者は見開きページで)がっかりすることもある。漫画家の気持ちをちょっと表現してみた」(YouTubeチャンネルより)という。

浦沢さん考案の「見開き読み推奨!マーク」

 またカラーページを積極的に活用する、扉絵のない回にはブランク(白紙)を入れるといった提案も。ブランクはまんがを読むテンポを作者の意図通りに再現するため。カラーは電子書籍の表現力を生かすためだ。

 「電子書籍というメディアで、 いかに読者の皆さんに漫画を楽しんでいただけるか。最善の形を求めて、 これからもいろいろなアイデアを出し合っていけたらと思います。まずはお楽しみいただけたら幸いです」

 一方で「やっぱり紙が好き」なため、「あさドラ!」6巻では紙版購入者を対象とした「やっぱり紙が好き!フェア」を実施する。初回配本分にもれなく特製ステッカーを封入する他、帯のマークをハガキに貼って応募すると好きな浦沢作品キャラクターを描いた「リクエスト・サイン色紙」を抽選で5人にプレゼントする。

「あさドラ!」6巻は12月28日に紙版、電子書籍版を発売。770円(税込)© 浦沢直樹

 浦沢直樹さんは1960年生まれ。1983年に「BETA!!」でデビューし、小学館漫画賞を3度受賞した他、 2021年に4度目となるイタリア「ルッカコミックス&ゲームズ2021」ベストシリーズ賞を「あさドラ!」で受賞するなど国内外で高い評価を受けている。世界累計発行部数は1億4000万部を超えた。

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