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有機ELを省エネ化、従来の3分の1の電圧で発光 分子科学研と富山大が開発

» 2022年01月07日 13時11分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 分子科学研究所と富山大学の研究グループは1月7日、乾電池1本から得られる小さな電圧でも一般的なディスプレイ並みに発光できる有機ELの開発に成功したと発表した。駆動に必要な電圧は従来の3分の1ほどで、世界最小という。この技術を使えば、市販の有機ELの駆動電圧も大幅に低減できる可能性があるとしている。

 研究グループは、2種類の有機半導体材料の界面で起きる、光エネルギーの上昇プロセスである「アップコンバージョン」という過程に注目。有機半導体の片方に「ペリレンジイミド」という物質を使い、もう片方に「ペリレン蛍光体」という蛍光物質を使い発光を促進。この結果、従来のアップコンバージョンを使った有機EL素子よりも約70倍高い発光効率を実現したという。

(a) 有機ELデバイスの発光輝度と電圧特性のグラフ、(b)乾電池1本で高輝度発光をする様子

 この研究は、学術雑誌「Advanced Optical Materials」に1月6日付で掲載された。

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