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iPhoneをすぐに使いこなす祖母とAirTagが必要になった祖父 実家のIT環境を見直した年末年始(2/2 ページ)

» 2022年01月12日 15時00分 公開
[山川晶之ITmedia]
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認知症が進む祖父にAirTag付き鍵を進呈

 しっかりはっきりしている祖母と違い、6つ上の祖父は認知症が進んでいた。しかも“まだらボケ”とも言うべきか、外部の人と話したりする時はすごくしっかりした応対をする。そのため、祖父が認知症であると家族外の人に理解してもらいにくかったりする。

 そんな祖父には1つ困ったことがあって、玄関の鍵を家の外に置いたりなくしたりすることがまれにある。祖母含め家族が何度指摘しても変わらず、揚げ句の果てにはその鍵を使って誰かが玄関の引き戸を開けようとした痕跡もあったようだが、祖父は「誰も入ってくる人はいない」(扉にはつっかえ棒が置かれてあって解錠しても一応開かない)と鍵の交換をかたくなに拒否し、祖母はだいぶ参っていた。警察に相談して鍵の交換を説得してもらっても、「はい、そうします」とはっきりその場では了承するものの、すぐにいつもの調子に戻る。

 そこで、帰省した際に祖母から説得をお願いされ、孫パワーで無事に鍵の交換と相成った。交換後、祖母は新しい鍵のスペアキーを渡したくないようだったが、祖父から再三の「スペアキーがほしい」要求があり、祖父をよく知るかかりつけの医師から、「鍵の場所が分かるアイテムを使うと良い」と提案されたという。そこでなにか良い物はないかと筆者のLINEに通知が飛んだ。祖母のiPhoneに「探す」を入れた伏線はここで回収される。

 見守り系デバイスは「MAMORIO」「Tile」などいくつかあるが、祖母のスマホをiPhone 7に変えたのを生かし、「AirTag」を取り付けることに決めた。iOS内の機能なのでUIが分かりやすいこと(アプリ名も探すで明快だ)、Appleのサービスなのでサードパーティーと違って再ログインなどを要求されにくそうなこと、実家のある福岡であればiOSデバイスのネットワークが十分に機能し、場所を特定しやすそうなことなどから選定。東京に帰る前日だったが、博多のヨドバシに駆け込んでケースもろもろ一式買い込んだ。

博多のヨドバシでAirTag一式を購入。Tileだとリングを付けるための穴が空いているのだが、AirTagは別途買わないといけないのが何とも……

 iPhone 7とAirTagを設定し、鍵の場所と音の鳴らし方を祖母に教え、落とさないよう鍵とAirTagを首から下げるためのリードを一緒に付けて祖父に渡した。リードは祖父が勝手に外さないよう弟の会社のノベルティを使った。孫がくれたものと認識させるためだ。

鍵と同じリングに取り付けた「AirTag」。これに首からぶら下げるためのリードを取り付けて祖父に渡した

 祖父は、孫と対面しているときは認知症が発症しない様子だったので、これを生かして外出時には必ず首にぶら下げること、家に戻ったときは指定の場所に置くこと、AirTagで鍵の場所が筆者にも分かること、AirTagを外したり外に置いたら鍵を没収することなどを言い聞かせ、それをまとめた誓約書に押印させ、鍵を取り出す際に目につくよう保管棚に一緒に入れた。

 AirTagは複数のiPhoneには設定できないため、実際は祖母のiPhoneからしか見られないのだが、便宜上こう説明している。祖母から報告があったら都度祖父に電話する予定だ。一瞬、筆者や母親のiPhoneを親機にするのも考えたのだが、AirTagの仕様上、親機と一定時間通信できないとアラームが鳴ってしまうため断念。祖父が外出するのは体力づくりのための体育館など1日に数時間なので、すぐにiPhone 7に再接続されれば鳴ならないだろうという判断である。

Apple純正の機能なのでiOSに統合されていてUIも分かりやすい

 AirTagの本領発揮はUWB(Ultra Wide Band)を生かした、高精度な現在地の把握だが、残念ながらiPhone 7は対応していない。現行のiPhone SEも非対応なので、次期SEがUWBに対応したら買い替えの筆頭候補にしたい。

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