参加者にとって対話相手を名前やアイコンで認識できるかどうかは雑談への参加を決める上で重要な基準になると分かった。当たり前の結果かもしれないが重要なことだ。
一方で、雑談している相手は知り合いのため、その他の詳細な個人情報は不要とした回答も得られた。ただし、参加者との親密度がそれほど高くなく、基本的な情報を知らない場合、もしくはよく知っていてもアップデートされている場合は、個人に関連する情報は会話のきっかけとして役立つとした回答も得られた。
「最近の情報があったら、結構、なんか例えば週末何したとかいう情報があったら、ああこの情報に関する話聞いてみたいなとか思って参加するかもしれないです」(P2)
「ここに出てる項目だとなんかある程度もう相手のこと知ってるからそんなにひかれはしないんですけど、何かこう今の気持ちを一言で、みたいなそういうのがあると、何か突っ込みに入りたくなる」(P10)
このように知り合いの場合は、近況やリアルタイムの位置情報、今日の一言などがあると会話のきっかけとして有効だと分かった。しかし、どの情報がどの程度必要かは、ユーザーの特性や状況に左右されるため、ユーザーが自由に表示の可否を選択できる設計が望ましいと考えられる。
エンゲージメント情報(会話時間や頻度、アクティブレベルなど)が必要だと言及した参加者によると、普段雑談しない人が会話している場合や、誰が話しているか、その場が盛り上がっているかといった全体の雰囲気を確かめられる場合においては、エンゲージメント情報が役に立つと回答した。
「入ってみて確かに何か沈黙が続いてると話しにくいので、こう今ちゃんと入る人が入って話してるっていうのは何かしらで分かったら確かにうれしいですね」(P6)
「これすごくいいと思います。話がどんぐらい盛り上がってんのか分かるので」(P11)
これらのことから、その場全体の盛り上がりの目安や、リアルタイムで話している人をハイライトする情報を提示することは、雑談参加のハードルを下げる可能性を示唆した。
会話内容のキーワード提示に関しては、何がリアルタイムで話されているのかを把握できるため、過半数の参加者が入りやすくなると回答した。キーワードをどれくらいの数、どの粒度(内容の細かさ)で提示されると見やすいかについては、会話から直接言葉が抽出されるよりも、大枠のトークテーマ1、2個で十分だとという回答が多かった。
「そう(数としては1個、2個がベスト)ですね。いましてる話題だとかみたいなのがあれば、例えば誰かの上司の話をしているんだったら、その人の話をしていますぐらい書いてあるだけで、だいぶ入るときのハードルは下がるのかなあと思います」(P4)
「それはめちゃくちゃ面白いと思います。何を話してるのかっていうのは、気になる気になりますね入る前に。(中略)テーマ1個ぐらいでもいいと思います」(P7)
キーワード表示の細かさの設定は検討の余地があるが、会話内容を2?3語で示す情報は効果的であることが示唆された。
会話の全スクリプト表示に関しては、ほぼ全員が不要だと回答した。その理由には、読むのが大変、読んでから参加しなければならないプレッシャーを感じる、全部を記録されると参加しづらい、読むだけで内容が分かるからなどが挙げられた。よって、設計するにあたり会話の全スクリプトは不要といえる。
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