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» 2022年01月14日 08時00分 公開

テレワーク時の雑談に参加したい条件とは? 東大がインタビュー調査Innovative Tech(3/3 ページ)

[山下裕毅,ITmedia]
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インタビュー結果(参加者に知り合いが1人もいない場合)

 アイコンや名前があっても、どんな人かまでは分からないため参加する気にはならない、もっと個人情報があった方が良いという回答がほとんどであった。具体的には、所属(部署)、仕事や学業の内容、作業場所、年齢といった相手の一般的な属性に関することが挙げられた。

 一方で、趣味や性格、近況については複数人が不要と答えた。初めての人に雑談ではそこまで考慮して話ができないからだという。性格を表す情報よりも共通の知人や共通点が提示される方が会話のきっかけとなり参加しやすいという声が複数見られた。

「僕の知り合いの人とこの人は、何かでつながってますよとか、このFacebookの共通の知り合い的な感じで、なんか誰かとは仲いいです、あなたの共通の何々さんの知人ですみたいなのがあったら、その人の話題が(中略)できるかもしれないので、そういう情報はうれしいかなと思います」(P4)

「パーソナル(個人に関連する)情報はあると面白いなと思います。そのまあ共通点がある人だったら、話しやすいのがちょっと想定できるとか」(P7)

 その他には、他者からの評価やSNSへのリンク、将来の夢、雑談したいテーマ、初対面の人への寛容度といった情報があると良いという回答が一部で得られた。これらの結果により、個人に関連する情報は知り合いでない相手と会話する場合は必須であり、基本属性に加え、共通点や共通の知人といった項目が会話のきっかけとしては効果的だと示唆された。

 エンゲージメント情報(会話時間や頻度、アクティブレベルなど)については、不要の回答が多かった。その個人の人となりが分かっていないと参考にしづらいからだという。

「会話の頻度があったとしても、あんまよく知らない人なので、あんま関係ないかもしれないですね.」(P4)

「それぞれのメンバーがどういう属性の人とか、どういうトピックをよく話す人なのかとかがまあ分かってれば、何かこの頻度高い人とかの情報を見て、ああなんか私もちょっとこれ興味あるから入ってみようとは思うんですけど」(P10)

 ー方で、場全体として会話へのコミットメントにメンバー内で偏りがないか、誰を中心に話しているかについては知りたいという回答が一部で得られた。

「知らない人がどれだけ喋って、なんか一番会話頻度高い人がどんな人かは知りたいです」「お喋りの人にマークが付くとして、そのマークがなんかこう、なんか移動してたら、ちゃんと時間ごとに、あーなんかちゃんと話まわしてるんだなと思って、ちょっと入ってみようかなと思います」(P12)

 会話のキーワードについては必要だと回答する人が多く、会話の全スクリプト表示に関しては全員が不必要と回答した。これらは参加者が全員知り合いの場合と似た結果となった。

 この研究では、リモート環境時における雑談を支援するためのインタフェースの設計を目的に、インタビュー調査を行い考察した。結果として、雑談の相手が知り合いかどうかは参加する障壁が異なり、支援に必要な要素も違うため、重要な指標であることが分かった。よって、それぞれに応じたインタフェースの設計が必要だと分かった。今回の調査結果から得られた知見を参考に、雑談への参加を促進しうるインタフェースデザインを考案した。

インタビューを踏まえて考えたインタフェースの提案機能の画像。(A-B)参加者のアイコンと名前が表示される(C1-4)アイコンをクリックすると、参加者の趣味や共通の友達などの詳細が表示される(C5)各アイコンの吹き出しで一言や近況、今の状況が表示される(D1)アクティブユーザー数や全体の会話音量で盛り上がりを表示するエンゲージメント情報がグラフで表示される(D2)会話中のアイコンにはハイライトが付加される(E)会話内で頻繁にでるキーワードがいくつか表示される(F)全員が拒否しなければ「新規の方歓迎中」と表示される。(論文著者より画像提供)

 そのインタフェースについて、およそ200人によるアンケート評価および統計分析を実施した。結果、インタフェースの影響によって雑談への参加意思が変わることが示唆された。インタフェースに対する印象は、ユーザーの属性や性格・ワークスタイルに起因することが分かった。

 今後は実際にプロトタイプを実装し、ユーザーをセグメント化した上で再度検証および改善を行うことが期待される。

出典および画像クレジット: 佐野 翔子, 佐藤 安理紗 ジエンジエラ, 矢谷 浩司. “リモートワーク環境での雑談を支援するインタフェースデザインの質的調査” 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI). vol. 2021-HCI-195, no.29, p. 1-8.



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