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“早すぎたメタバース”Second Lifeとは何だったのか 再ブームはあり得るか?(1/3 ページ)

» 2022年01月18日 12時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

 「メタバース」が注目を浴びている。Meta(元Facebook)など米テック企業を中心に、メタバースへの投資が加速。ブームへの期待感が高まっている。

 そんな中、注目されているのが3D仮想空間「Second Life」だ。今から20年も前、2002年にメタバースを構築した、まさに“老舗”だ。

画像 2022年現在のSecond Life「ロンドン」より。すべての建物は、ユーザーによって作られている

 先日、運営元の米Linden Labに、創業者のフィリップ・ローズデール氏が戦略アドバイザーとして再参加すると発表があり、期待を集めている。

早すぎたメタバース?

画像 Second Life公式の「行き先ガイド」より。多種多様なエリアをユーザーが作り出している

 Second Lifeは、コンテンツのほぼすべてをユーザーが作成している、3Dの仮想空間だ。今メタバースと呼ばれるもののほぼすべてがここにあったし、今もある。

 日本でも15年ほど前……2006〜07年に、Second Lifeブームが急速に立ち上がり、1年ほどで一気に沈んだ。このため、サービスの失敗例として挙げられたり、「早すぎたメタバース」などとやゆされることもある。

 だがSecond Life自体は今も、当時とそれほど変わらない姿で稼働しており、日本を含む世界中のユーザーが、コミュニケーションしたり、ものを作ったり売ったり、イベントを開いたりして、そこに生きている。

 15年前のブームとは一体何だったのか。メタバースがバズワードとなっている今、再燃する可能性はあるのだろうか――。当時“Second Life支局”から内部の様子を報道していた筆者が振り返る。

Second Lifeは“すべてをユーザーが作る”仮想空間

 Second Lifeは、PC専用の仮想空間アプリケーションで、2002年にベータ版がリリースされ、03年に正式公開された。

画像 2007年1月当時、Second Life内にあった日本街「Nagaya」

 決められたストーリーや目的はない、いわばオープンワールドだ。街や建物、乗り物、家具など、世界のほぼすべてが、ユーザーの手によって作られ、ゲーム内での目的も、ユーザー自身が決める。

 ユーザーは、3Dアバターで世界中を観光したり、出会った人と会話したり、乗り物に乗ったり、居酒屋でダベったり、クラブで踊ったり、時にはセックスしたり――まさに第2の人生(Second Life)を、仮想空間で謳歌できる、というわけだ。

 現実の建物や街を再現する人、ライブイベントを主催する人、衣装や家具、アバタースキンを販売する人……その活動と規模は少しずつ大きくなっていき、世界の姿は洗練されていった。

 ゲーム内通貨「リンデンドル」は米ドルと互換性があるため、ゲーム内で得た収益で、現実世界の生活費をまかなう――という人も。空間内の“土地”(島=「SIM」と呼ばれるサーバ。運営元からレンタルできる)の売買で富を蓄積したユーザーも現れた。

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