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出身地ガチャが生み出すGIGAスクール格差 高校の1人1台端末導入はどうなる?小寺信良のIT大作戦(3/4 ページ)

» 2022年01月19日 11時14分 公開
[小寺信良ITmedia]

「GIGA格差」の誕生

 先日、県内ではまだコロナ感染者数ゼロが進行中だったころ、中学校の授業参観があったので行ってきた。中学2年生のホームルームでは、自分たちが行く可能性のある高校を調べようという授業で、学校貸与のiPadを使っていた。サイトで高校を調べ、「ロイロノート」にまとめたものを先生が発表していく。

 従来なら、こうした調べ学習は図書館に移動しなければならなかったし、先生や生徒が黒板に板書するのに時間が取られて効率が悪かったはずだ。そうした時間が短縮され、1時限で完結できる成果が増えたのは確かである。

 ただ、学習時間が短縮できることでもっとたくさん学べる、という方向性は、期待した通りの成果なのだろうか。個人的には、節約できた時間を生徒の考える時間や議論に使うなど、もっと深さ方向に使うのかと思っていた。まあまだ始まって1年目なので、とにかく前に進むことが大事なのかもしれないが、もともとGIGAスクール構想で目的としていたのは、「個別最適化された学び」ではなかったのか。

 現在子供の通う中学校では、iPadの持ち帰りが中止されて数カ月が経過する。保護者には特に何の説明もないのだが、子供に聞くところによると、持ち帰ったiPadでゲームをして遊んでいる生徒がいたということで、どういうわけか全生徒一斉に持ち帰りが中止されたままである。

photo iPadの持ち帰りは禁止されたまま

 まあ持ち帰ればそれなりにいろんな問題は出てくるとは思うが、それはそれぞれの生徒の問題であって、関係ない子供たち全員が連帯責任を負うものでもないだろう。そういうトラブルは「個別最適化」されないのだろうか。家に学習端末を持ち帰るということは、「もっと学びたい」を実現するものである。学びに「残業」の概念はない。

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