さて、新車購入の際にローンを利用する場合、ディーラーが提携している信販会社を勧められる場合が多い。これを利用するかしないかは、慎重に判断したい。ディーラーと信販会社が提携して「何らかのキャンペーン」を行っている場合は、非常に低金利なローンが組める場合がある。もし、その金利が2%未満、しかも1%前後、いや、それ以下だったとしたら相当にお得な提案なので利用しても問題はあるまい。ただし安くても残価設定型クレジットだったら一呼吸置こう(詳細は後述)。
逆に金利が4%〜5%以上だったら、金融会社のマイカーローンなどの検討をした方がよいかもしれない。
あと、10年以上前の筆者個人の過去の経験談だが、各地域の地元ディーラー(販社)や、その営業マン個人レベルが、独自に地元の金融会社のローン担当者と通じていて(笑)、かなりお得な金利ローンの提案をしてきたことがあった。両者のプラス成績になるのだろうか。ただし、この必殺提案は月なり年なりの最大上限数があるという話をしていたので、出し惜しみはするようだ(笑)。
比較的、額面の大きい商談ケースで「なんかもっと低金利なのありませんかねぇ」とごねていたら出てきたので、試してみるといいかもしれない(笑)
それとこの手の話だと「残価設定型クレジットはどうなの?」という話題が挙がるので、簡単に触れておこう。
現在GT-Rは新規商談を受け付けていないが、便宜上、GT-Rを残価設定型クレジットで購入する例で話を進めることとしたい。
確かに、日産の公式サイトではGT-Rも残価設定型クレジットが利用出来る旨を説明している。ただし、その車を最終的に自分の所有物にしたいのであればあまりオススメできない。というのも、普通に頭金を入れ、前述してきたのようなローン購入した方が圧倒的に安く購入できるためだ。
では、残価設定型クレジットのメリットはどこにあるのか。それは頭金が少なくても購入しやすいこと、月々の支払金額を少なくできて支払期間中はそのクルマのオーナーになれることだ。日産の残価設定型クレジットでは最大5年60回まで設定できる分割払い期間後の車両価値を日産が保証しており、これを残価として設定できる。ユーザーは自分の支払い能力に合った年月分だけの車両価格を支払期間中支払い続け、その支払い継続期間中は車両を“ほぼ”自分の物として利用できる。
例えば、約1233万円のGT-Rのプレミアムエディションを購入するに当たり、頭金を約249万円入れると、支払い残額は約984万円となる。
日産は5年後のGT-Rの残価を約493万円と保証しているので、支払い残額は、
支払い残額約984万円−残価約493万円=約491万円
と計算できてローン金額は約491万円になる。
ユーザーはこの約491万円に対して金利を乗せた額面で分割払いを行うことになる。ちなみに、日産の残価設定型クレジットの金利は4.9%に設定されている(あまり安くない)。ボーナス払いなどを組み入れれば、月々の支払額はけっこう安価なに抑えられるのが残価設定型クレジットの利点だ。下は今の事例に近い日産の残価設定型クレジットでの見積もりになる。
いずれにせよ、5年間の間は、これでGT-Rのオーナーになれるわけだ。
5年後には、
という3つの選択肢から選ぶことになる。
(1)か(2)を選ぶ場合は、残価設定型クレジットの典型パターンで、話はシンプル。これ以上の解説は不要だ。
しかし、(3)の場合は注意が必要だ。
日産を含む大手自動車メーカーの残価設定型クレジットでは、総支払い回数が最長84回(7年)としているところが多く、例えば、今回の例で最初の残価設定型クレジットを5年(60回)で契約していた場合は、上の事例で行けば、約493万円をあと24回(2年)で支払う必要がある。金利無視の単純計算で月々の支払額は20万円に跳ね上がる。
また、事実上、ローンの組み直しになるため、ローンの再審査が必要になるうえ、なんと、多くのディーラーにおいて、このタイミングでのローンの組み直し時には金利が引き上がることが多い。
どういうことかというと、日産の場合だと、前出の金利4.9%は残価設定型クレジットのもので、残価設定型クレジット終了後の残価分への再ローンでは普通のローン契約をしなければならない。日産の平常ローンに相当するオートクレジットの通常金利は6%になるので、これが適用されるというわけである。
もちろん、残価設定型クレジット終了後の残価分への再ローンは、それこそ金融会社のマイカーローンを使うこともできる。だとすれば「最初からそうしなさいよ」というわけで、対象車を自分の所有物にしたい場合は、残価設定型クレジットの旨味はあまりないのである。
メーカー/ディーラー側としては、残価設定型クレジットには、
という狙いがあるので、利用する場合には、そのあたりの意図は最初から理解しておきたい。
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