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Twitterのスクショ投稿が違法?  判決で示された学びと悟り小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)

» 2022年01月25日 15時03分 公開
[小寺信良ITmedia]

Twitter上の発言と裁判所の判断

原告投稿1

こないだ発信者情報開示した維新信者8人のログインIPとタイムスタンプが開示された

NTTドコモ 2人

KDDI3人

ソフトバンク2人

楽天モバイル1人

こんな内訳だった。KDDIが3人で多数派なのがありがたい。ソフトバンクが2人いるのがウザい

しかし楽天モバイルは初めてだな。どんな対応するか?

東京地裁判断

原告投稿1は140文字以内という文字数制限の中、発信者情報の仮の開示を求める仮処分手続を経て、著作権侵害と思われる通信に係る経由プロバイダが明らかになった事実に基づき、当該事実についての感想を口述的な言葉で端的に表現するものであって、その構成には作者である原告の工夫が見られ、また、表現内容においても作者である原告の個性が現れているということができる。

原告投稿2

「@B @C @D  >あたかものんきゃりあさんがそういった人たちと同じよう

「あたかも」じゃなくて、木村花さんを自殺に追いやったクソどもと「全く同じ」だって言ってるんだよ。

結局、匿名の陰に隠れて違法行為を繰り返している卑怯どものクソ野郎じゃねーか。お前も含めてな。

東京地裁判断

原告投稿2は140文字以内という文字数制限の中、意見が合わない他のユーザーに対して、短い文の連続によりその意を明確に修正した上 、高圧的な表現で同人を罵倒するものであり、その構成25には作者である原告の工夫が見られ、また、表現内容においても作者である原告の個性が現れているということができる。

原告投稿3

「去年の今頃、「@E 」とかいう高校3年生の維新信者に絡まれて勝手にブロックされて「何したいんだ、このガキ 」って事が

さっき、あのガキのツイートが目に入ったんだけど受験に失敗して浪人するわ都構想は否決されるわで散々な1年だった様だ

「ざまあ」以外の感想が浮かばない (笑) 

東京地裁判断

「原告投稿3は140文字以内という文字数制限の中、かつてツイッター上で特定のユーザーとトラブルとなった経緯のほか、その後、当該ユーザーの政治的主張が採用されなかったこと、当該ユーザーが大学入試に失敗したことを端的に紹介した上で、当該ユーザーが不幸に見舞われたことを「ざまあ」の三文字で嘲笑するものであり、その構成には作者である原告の工夫が見られ、また、表現内容においても作者である原告の個性が現れているということができる。

原告投稿4

@C アナタって僕にもう訴訟を起こされてアウトなのに全く危機感無くて心の底からバカだと思いますけど、全く心配はしません。アナタの自業自得ですから。

東京地裁判断

原告投稿4は140文字という文字数制限の中、原告に訴訟を提起されたにもかかわらず危機感がないと思われる特定のユーザーの状況等につき、「アナタ」、「アウト」、「バカ」、「自業自得」という簡潔な表現をリズム良く使用して嘲笑するものであり その構成には作者である原告の工夫が見られ、また、表現内容においても作者である原告の個性が現れているということができる。

 よって4投稿とも、「言語の著作物に該当する」としている。

 これは一体どこの虚構新聞なのかと思われたかもしれないが、判決文にはこのように記載してあるので、うそだーと思う方は上記リンクから判決文を参照していただきたい。著作権法による著作物の要件では、その内容は問われず、独自の工夫と個性が現れていれば事足りる、というわけである。

 これに関しては、違和感を覚える人も多いかもしれない。だがここには、不愉快であるということを理由にその芸術性を否定できないという難しさがある。一方で罵詈雑言であろうとも、創意工夫と個性があれば著作物として法で保護されうるというのは、まあ法的にはそうなのだろうが子供にはちょっと教えることを躊躇する話ではある。

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