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買い物DXが起こる? 体験して分かった地方の電子ペイメント事情小寺信良のIT大作戦(7/7 ページ)

» 2022年01月31日 07時28分 公開
[小寺信良ITmedia]
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セルフレジとの違いは?

 一方レジゴーの場合、精算は一瞬なのでレジの混雑はないが、結局店内買い物カゴからマイバッグへの商品入れ替えをサッカー(袋詰め)台でやらないといけないので、そこで時間が取られる。今は利用者が少ないのでサッカー台も空いているが、利用者が増えればサッカー台の空きを待つということになりかねない。有人レジよりは時間短縮できるが、セルフレジより早いかといわれれば、混雑時でなければどちらも同じである。要するにスキャン時間を分散させているだけだからだ。

 店員との接触機会も、セルフレジと変わらない。よって詰替時間を減らすためには、指定のマイバッグを買って、それに商品を入れて買い物をするほかない。しかしこの専用マイバッグを毎回忘れずに持っていけるかという問題もある。保冷機能付きなので、折りたたんでもそれほど小さくならず、小ぶりのバッグなどには入れられない。

 確かに「レジに並ばない」はいまのところ利用者が少ないので実現できているが、結局人がチェックしに来るし、クーポン券を使いたかったら店員さんがレジにログインして処理してもらわないといけないので、「非対面」にはならない。

 レジ端末も非接触型の導入を進めているようだが、イオンモール宮崎には導入されていないので、「非接触」ではない。貸し出し端末も会計後に店に返却するわけだが、これもどれぐらいクリーニングして入り口に戻しているのか、確認できない。

 レジゴーの導入で、確かに体験は変わる。店側には売り上げが上昇するというメリットがあるようだが、顧客側のインセンティブはどうなのかな、とは思う。また万引き防止のような防犯対策はさほどガッツリやっておらず、顧客の正直さ任せになっている感じが強い。

 ただこれは、大きな流れでいえば無人販売の方向に進んでいるのかなという気がする。品数が多いスーパーのような業態では、そちらのほうがメリットは大きいのだろうとも思う。現在無人販売は米国主導で進められており、日本でも一部スタートしている店舗もある。ただこうした取り組みはいまのところ都市部だけで、セキュリティ的にもガッチリしている。

 これまでも地方に行けば、ハタケの脇に無人野菜販売所みたいなものがあり、ある意味顧客を信用してセキュリティゼロで販売するという方法はあった。そういう意味では、「田舎で無人販売」は実績がある方法ともいえる。

 こうした取り組みを全国チェーンでスタートさせられたのは、イオンの強みだろう。双方がWin-Winになる買い物体験の実現は、突然完成するものではないと思うが、ステップとしての第一歩がようやく始まった、といえるかもしれない。

photo レジゴー
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