日本財団は2月7日、無人フェリーによる世界最長距離・長時間の運行に成功したと発表した。北海道苫小牧市から茨城県大洗町までの約750km・18時間の道のりを自動で航行した。
自動航行したのは、全長190m、総重量1万1410トンの大型フェリー「さんふらわあ しれとこ」。一般的な機能を持つフェリーに、2020年2月から開発を続けてきた自律操船システムを搭載して無人運航船とした。同船は6日に苫小牧市を出発し、7日に大洗町まで無事たどり着いた。
海を行き来する他船の検出には、以前から使われている船舶自動識別装置とレーダーに加え、可視光カメラと赤外線カメラを採用。各種装置から得られた情報をAIで分析して船を見つけ、衝突を回避する。船の動きは陸上で監視。AR技術を活用し、船から送られる映像に各種情報を重ねて表示した。
日本財団によると、大型フェリーは人間と荷物を同時に運べるため、関東−北海道間の海運の8割以上を占めるほどに重宝されているという。一方で「船員の人材不足や長時間運行による業務負担などの課題もある」と指摘している。
同財団は実証実験の結果を受け「本プロジェクトで開発したシステムは、船舶の安全航行や船員の労働負荷低減に寄与する」と期待を寄せた。
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