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オンキヨーはどこへ行く AKAIやSANSUIの“いつか来た道”(1/2 ページ)

» 2022年02月18日 17時59分 公開
[本田雅一ITmedia]

 オンキヨーホームエンターテインメントの子会社、オンキヨーマーケティングとオンキヨーサウンドが事業を停止し、破産申請の準備を始めたというニュースは、ホームAV事業をシャープとVOXXグループの合弁会社に譲渡したときと同様、多くのオーディオファンに衝撃を与えた。

オンキヨーといえば「INTEC」という人も多いはず。写真はINTECとしては新しい2009年のシリーズ。スマホ内の音源をUSB経由で再生できた

 オンキヨーは、松下電器産業(現在のパナソニック)のエンジニアだった創業者が終戦直後の1946年に創業した老舗オーディオ専業メーカー。古いオーディオファンならオンキヨーが東芝資本の元にあった頃(1957年から1993年まで)、東芝系列店でオンキヨー製品が販売されていたことを覚えている人もいるかもしれない。

 東芝生え抜きのオーディオブランドとして「Aurex」(オーレックス)もあったが、オーレックスがオーディオブームの終焉とともに1990年に撤退したのに対し、オンキヨーはブームが去った後にも、様々なアイデアで生き抜いてきた。

 小型ながら本格的なオーディオコンポーネントとしてこだわった企画、設計だった「INTEC」シリーズは、オンキヨーが得意としていた小型のブックシェルフ型スピーカーなどとともに1990年代から2000年代にかけ、当時「ハイコンポ」と呼ばれた商品ジャンルで独自の地位を築いた。

 また2000年代にホームシアター市場が拡大すると、オンキヨーブランドとは別に兄弟機ともいえる「Integra」(インテグラ)ブランドを立ち上げた。Integraは北米市場でカスタムインストール用(宅内の工事を伴うホームシアター作り)に開発した製品群に与えられたブランドだったが、それを逆輸入する形でオンキヨー以上に高いブランド力を持つ製品ラインとして定着した。

Integraの「DTX-5」(2005年発売)。Integraはもともと北米市場向けに開発した製品群だった

 メインストリームのオンキヨー製品だけではなく、市場特性に合わせた緻密な商品企画、ブランド展開がオーディオメーカー不遇の時代に生き残ってきた理由だったように思う。

 その後は米Intelとの関係を強め、PCメーカーのソーテックを子会社化。オーディオPCの開発を行ったり、ハイレゾ音源のダウンロードサービスの草分けである「e-onkyo music store」を始めたりと、その後のオーディオトレンドを捉えた戦略も実践してきた。

オーディオ技術を投入して開発したPC「HDC-1.0」(2007年発売)。「HDオーディオPC」として販売した
ハイレゾ音源のダウンロード販売サイト「e-onkyo」(画像はオープン前にプレスに配布したイメージ)

 しかし2014年にギブソン傘下となり、さらにパイオニアのAV部門を統合する頃になると経営環境は悪化。2018年にはギブソン自身が米国連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請し、再建を目指す際にオンキヨーから資金を引き上げた。

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