ITmedia NEWS > STUDIO >

CP+2022に学ぶ、「オンラインイベント」はどうあるべきか小寺信良のIT大作戦(3/5 ページ)

» 2022年02月26日 09時04分 公開
[小寺信良ITmedia]

パナソニックの編成テクニック

 その点、面白い動きをしていたのはパナソニックだ。12時10分とか午後2時50分とか、微妙にタイミングをずらして公開するコンテンツが多かった。これは他社被りを避け、正時に公開したメーカーの流れ客を拾う、先出しして待ち客を拾うといった作戦だろう。このあたりの編成テクニックは、非常にテレビ的である。

 一方で、オンラインのみとなった場合のプログラムの組み方はこれで良かったのか、という疑問も残る。本来会場イベントであれば、1日休みをとって会場に行き、全部のブースや製品が見られるわけだが、オンラインイベントでは会期中に少しずつコンテンツが公開されていくことになるので、ずっと貼り付いていなければならない。

 だがわれわれはそれほどヒマではないので、見たいコンテンツが公開されたあとは、ライブではなくアーカイブで見ることになる。もちろん、ライブイベントであればその時間に公開されるのは分かるが、事前収録の動画の公開をスケジュールを立てて順次公開する意味は、どこにあるのだろうか。

 そう考えると、ライブ性よりは、アーカイブで見る際の検索性のほうが重要になってくるはずだ。だがCP+2022のオフィシャルサイトは、ポータルとしてそのような作りになっていなかった。あくまでも日にち別の「番組表」がそこにあるだけで、「放送」が終わっても番組表のままでそれが動画リンクになるだけだ。

 CP+はもともとノウハウ系のセミナーが多いと書いた。それなら、ノウハウ別で検索できたりしないのか。例えばカメラ本体の話、レンズの話、撮影補助ツールの話、テクニックの話、撮影後の処理の話などに分けられるはずだ。

 これが仮にテレビレコーダーなら、録画された番組を番組表順に並べるなど無意味なので、ジャンル分けされて表示される。ライブではなくアーカイブを見るというのは、つまりはそういうことなのだ。

 オフィシャルサイトは静的サイトとして置いておき、動的な動きはTwitterでやっていく、という作戦だったのかもしれない。事実ハッシュタグ「#CPプラス2022」を押さえておくと、各メーカーがリアルタイムで情報を発信しており、イベントの進行はそちらで追うことができた。ただ、これはあくまでもリアルタイム情報であり、あとからアーカイブを見る人達に向けたものではない。

photo 会期中、Twitterはかなり活発に動いていた

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.