現状から予測する「ソニー×ホンダのEV」 なぜ両社はタッグを組んだのか(1/3 ページ)
3月4日の夕方に発表された「ソニーとホンダがEV(電気自動車)で提携」というニュースは、多くの人々を驚かせた。
筆者もその日に開催された記者会見に参加したが、非常に興味深いものであった。
実のところ、両社がどのようなEVを作るのかはまったく公開されていない。ソニーは2020年に試作EV「VISION-S」を開発し、ヨーロッパで公道走行試験まで行っているが、製品としてのEVは「VISION-Sとは異なるもの」(ソニー広報)とされている。
では、2社が作るEVとはどのようなものになるのか? 会見でのコメントなどから、その可能性を考えてみよう。
「モビリティの変化」への危機感が両社をつなげる
会見で、ソニー・ホンダ両社のトップが露わにしたのは、「モビリティの変化」への危機感だった。
モビリティとは、ざっくり言えば「移動手段を提供するもの」のこと。自動車は当然、その中核にある。
ソニーグループ(以下ソニー)の吉田憲一郎氏(代表執行役会長 兼 社長 CEO)は、会見の冒頭で次のように述べている。
「過去10年を大きく変えたメガトレンドはスマートフォン、すなわち『モバイル』でした。これからの10年は『モビリティ』になります」
人の生活と経済に「移動」は欠かせない。コロナ禍で移動が制限された結果、テレワークなどの「移動しない」手段も注目されているし、人工の生活圏である「メタバース」も注目されているが、それはどれだけ我々が「移動という大きな制約の影響を受けて暮らしているのか」ということの鏡写しでもある。
通信可能なIT機器を持ち運べるようにしたものが「モバイル機器」であり、その結果、どこでも通信とIT機器の恩恵を受けられるようになったことが、過去10年、いや20年をリードしたトレンドだったのは間違いない。
スマートフォンが定着し、その流れはある程度の完成を見た。次は、「移動する手段」自体が通信とITを搭載して変化する時代だ。ソニー・吉田社長の言葉は、そうした変化に遅れず対応し、産業をリードしていきたい……という意気込みを示しているのだろう。
本田技研工業(以下ホンダ)の三部敏宏氏(取締役 代表執行役社長)の考えも同様だ。
「自動車を中心としたモビリティの事業が大きな変革期を迎えています。しかし、革新の担い手は従来の自動車メーカーではなく、新たな業界からのプレーヤーになっています」(ホンダ・三部社長)
この言葉からまずイメージされるのは、テスラに代表される新興自動車メーカーだが、それだけでなく、電動キックボードのシェアリングやカーシェアなどを提供する企業も「モビリティ」という括りでは対象となるだろう。
会見での質疑応答によれば、今回の提携は、そもそもはホンダから持ちかけたもののようだ。
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