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ロシア人にウクライナに関する西側情報を送るSquad303の人海プロジェクト 700万件以上送信

» 2022年03月13日 08時31分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 Squad303と名乗るポーランドのプログラマー集団は3月6日(現地時間)、ロシア国民にランダムにテキストメッセージを送るWebサイト「1920.in」を公開し、ロシアのウクライナ侵攻に関する西側の情報を送るよう呼び掛けている。11日の段階で、700万件以上のメッセージが送られたという。

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 Squad303は、ロシア国民およびロシアの企業のものとする約2000万件のスマートフォンの番号と約1億4000万件のメールアドレスのデータベースを保有しており、Webサイトではこれらの番号あるいはアカウントがランダムに表示され、ロシア語の「親愛なるロシア人、あなたのメディアは検閲されている。クレムリンは嘘をついている。無料のWebサイトとTelegramアプリでウクライナについての真実を見つけてください。独裁者プーチンを倒す時が来た!」というメッセージと、利用者が選ぶコンテンツを送信できるようになっている。

 Squad303は米Wall Street Journalの取材に対し、このWebサイトの目的は「プーチン(大統領)の検閲の壁を打ち破り、ロシアの人々が世界と、ロシアがウクライナで行っていることの現実から遮断されないようにすることだ」と語った。


 Wall Street Journalによると、Squad303という名前は、第二次世界大戦でナチスドイツとの戦いで活躍したポーランド人パイロットによる英空軍部隊に由来する。Webサイトの1920.inという名称は、1920年のソビエト連邦とポーランドの戦いで、ポーランド軍がソ連の侵攻を奇跡的に阻止したことに由来する。

 記事では、実際にこのツールを使った複数の一般人の声も紹介している。中には返信するロシア人もおり、拒絶するメッセージも、感謝のメッセージもあるという。Twitter上には、ロシア人とのテキストメッセージのスクリーンショットを紹介している人もいる。

 自由欧州放送の前社長で、偽情報対策、ロシア問題、国際ジャーナリズム倫理、企業経営に関するコンサルタントのトーマス・ケント氏は米CEPA(欧州制作分析センター)への寄稿で、西側にはロシア国民に真実を伝える義務があると主張し、Squad303のツールを紹介した。

 「ロシア人は何十年にもわたって、公式メディアへの不信感を持っている。(中略)説得力のある信頼できる情報が外部から届けば、彼らは再配布する。プーチンが情報を制限すればするほど、ロシア人は何が隠されているか知りたがるだろう」(ケント氏)

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