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4月1日からの民法改正「18歳成人」で、本人と親が失うもの小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2022年03月31日 07時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 2022年4月1日から、成人年齢が18歳になるという記事がよく目に付くようになった。もしかしたら、「あれ、以前もそんな話なかったっけ?」と思われる方もあるかもしれないが、それは2015年の公職選挙法改正で、選挙権が18歳に引き下げられたことかもしれない。

 この4月1日で「18歳が成人」といわれているのは、我々の社会生活のルールを広くカバーする「民法」が改正され、民法上も18歳以上を成年として扱うようになるからである。これまでは20歳以上だったので、4月1日時点で18歳と19歳の人達が、成人式でも誕生日でもないのに一斉に成人になる。

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 民法は巨大な法体系で、現在1050条まである。とても全部を覚えきれるものではないが、われわれが何かを契約したり、結婚したり、遺産相続したりといった取り決めの多くは、民法をベースに運用されている。

 実は日本にある数多くの法律には、成人と未成年者を線引きする部分が沢山ある。今は法律によって、20歳で線引きするものと、18歳で線引きするものが混在している状況だ。例えば未成年者飲酒禁止法や未成年者喫煙禁止法は、未成年者を20歳未満と規定しており、そこは変わっていないので、「お酒やたばこは20歳から」というスローガンはそのままである。

 一方少年法は、民法と同じく4月1日に改正法が施行される。改正法では18歳と19歳を「特定少年」というふうに分けて、引き続き少年法の適用を受けるものの、一部では20歳以上のものと同様に扱われる部分もあり、17歳以下とは扱いが異なることとなる。

 つまり大きな流れとして、日本の法体系は18歳成人の方へゆっくりシフトしている途中ではあるものの、健康被害や犯罪に関わるものは慎重に対応しているということである。

 多くの記事では、18歳〜19歳の権利義務がどう変わるかに主眼が置かれている。それは当事者には重要な情報なので、ぜひその年齢のお子さんをお持ちの保護者の方は、そうした記事を参考にしてほしい。

 一方で18歳未満のお子さんをお持ちの皆さんは、逆に未成年が民法でどう扱われ、どのように保護されているのかを知る方が、メリットが大きいだろう。それにより、早く成人になったことで失われるものもまた見えてくるはずだ。本稿は、多くの記事の裏側から見た視点、成人になることによって失われる法の保護について述べてみたい。

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