専用の機器で呼気のアルコール量を測定し、データを自動でクラウドサーバに保存。合否はWebアプリでも確認でき、AI顔認証を使うことでなりすましも防ぐ──企業向けサービス「Al-RollCall」を、システム開発などを手掛けるMIRAIt Service Design(東京都千代田区)が4月1日から提供している。
IT展示会「第31回 Japan IT Week 春」(東京ビッグサイト、4月6日〜8日)では、実際にこのシステムで使う機器などを展示している。サービスの仕組みや、提供の背景について、同社の中村玲二さん(ICTイノベーション事業推進部)に聞いた。
中村さんによれば、Al-RollCallは運転手の利用を想定したサービスにもかかわらず、運送・旅客業ではない企業の導入を見込んでいるという。その背景には、道路交通法の改正がかかわっている。
Al-RollCallを使うときの流れはこうだ。まず、専用のタブレット端末で検査を受ける人の顔を撮影。その画像と、事前にシステムに登録した顔写真をAIで照合し、なりすましの有無を判定する。本人だった場合、さらに専用の検査機器で呼気中のアルコール量を測定。いずれも結果はその場で確認できる他、クラウドサーバに保存し、安全管理の担当者が遠隔地からWebアプリで閲覧することもできる。
Webアプリは、体温をはじめたとした体調のデータも入力・閲覧可能という。システム自体は利用人数に応じて月額制で、専用のタブレットと呼気の検査機器は別途買い切りで提供している。
開発の背景にあるのは企業によるアルコール検査を巡る法改正だ。政府は2022年4月に道交法を改正。社用車を5台以上、もしくは定員が11人以上の自動車を持つ企業に対し、業種を問わず安全管理者が運転者の状態を目視で確認し、酒気の有無を確認したり、その結果を記録して保存したりするよう定めている。10月からは、専用の機器を用いた呼気の検査も必須になる。
これまでは旅客や運送業などを営む事業者のみに同様の責任があったが、対象が広がった形だ。MIRAIt Service Designは今回の法改正を受け、アルコール検査の作業や記録を効率化したいという需要を見込み、Al-RollCallの提供を決めたとしている。
中村さんによれば、すでにいくつかの企業から導入を検討する声が出ているという。今後は、これからアルコール検査を始めていくような旅客や運送業以外の業種をターゲットに提供を拡大していく方針だ。
「運送業などではすでにアルコール検査に慣れているが、法改正でそれ以外の企業も検査が必要になった。そういった企業全般をターゲットにしていきたい」(中村さん)
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