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Macが生まれた年からの贈り物は、逆回転で「タイム・アフター・タイム」と囁く立ちどまるよふりむくよ(1/3 ページ)

» 2022年04月14日 08時53分 公開
[松尾公也ITmedia]

 古いメディアを再生しようとするとさまざまな困難にぶち当たるのは当然だ。例えばパーソナル向けコンピュータストレージはカセットテープから8インチ、5インチ、3.5インチのフロッピーディスク、ハードディスク、SSDへと移ってきたが、今はフロッピーのデータすら読むのは難しい。

 この連載の前回は、Apple最後のデジカメで撮った写真をフラッシュストレージから取り出す話だったが、けっこう壮大なストーリーになってしまった。

 PC用のストレージ規格ですらこのように変遷しているのだから、まあ仕方ない。

 われわれにできるのは、可能なうちに次世代のテクノロジーにデータを移しておくことくらいだろう。

 miniDVや8ミリビデオなどのパーソナルビデオはかなりアーカイブできたので、次は大量にあるカセットテープを劣化して聴けなくなる前にデジタル化をしようと考えた。

 「ミックステープ文化」が若者層にも知られるようになり、カセットエディションをリリースするアーティストが出てきたりと、最近はカセットテープも復活してきた。Netflixでは、亡き両親が残したミックステープの曲を探索するという映画も公開している。

photo ミックステープ 伝えられずにいたこと

 だが、肝心の再生・録音装置は全盛期のようにはいかない。

 かつてのウォークマンのような超小型プレイヤーは出てこないし、実現しそうにもない。

 以前クラウドファンディングで出ていた半透明のプレイヤーも見た目はいいが、モノラルだった。買った後で気付いた。

 ありがたいことにTEACは今もカセットデッキを作ってくれているが、それでもかつてのレベルではなく、オートリバース、メタルテープ対応などはロストテクノロジーとなっている。

photo TEACの最新ダブルカセットデッキ「W-1200」

 まだ中古で状態のいいカセットデッキが手に入る今のうちにデジタル化をしておかねば、と始めたというわけだ。

 うちには中古で買ったオートリバースダブルカセットデッキ(メタル対応)があるが、それとは別にシングルカセットのデッキをメルカリで購入した。手元で操作しつつ仕事のBGMにしながらデジタル化できるように、コンパクトなのを選んだ。

 テープデッキをオーディオインタフェースにつなげてM1 iMacのAudacityでデジタル化し、タイトルのないカセットには内容に沿ったものを記していく。中身とケースが一致していないものも多いので、神経衰弱ゲームみたいになってくる。だがそれも楽しい。自分で作った当時のAORベストセレクションを取り込みながら聴いてると、すごく冴えた選曲をしてて、当時の俺スゲーってなる。

photo ONKYOのテープデッキを中古で買った
photo デジタル化したカセットテープたち
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