まとめ直すことが前提であるなら、メモや資料は素材だ。メモが素材であり完全なものではない、ということは、「見直す」「再チェックする」ことが前提、という話でもある。
そうなると、紙のツールよりはデジタルツールの方が便利であることに疑いはない。「タイプやデジタルツールの利用は相手に失礼」という意見もあるが、そろそろ考え方も変えていった方がいい。お互いに快適に働けて、パフォーマンスを上げられる方がプラスだ。
もちろん、タイプやペン入力よりも紙の方が書きやすいなら、紙のノートでもいいとは思う。メモを書くときのストレスの小ささが一番重要だ。
ただ、録音との連携や検索を考えると、デジタルツールの価値は大きいと筆者は考えている。
「真剣に覚えれば、メモなんていらない」という人もいるが、それこそ論外だ。脳の記憶能力は根性では改善しない。間違ったりあやふやになったりするくらいなら、ちゃんとメモをとるべきだし、メモをとる・残すなら、効率がよく、シェアもしやすいデジタルデータで残す方がプラスではある。
筆者はメモにPCをはじめとしたデジタルツールを使っているが、理由は「整理」と「再チェック」が簡単であるからに他ならない。日時やキーワードによる検索は当然だが、録音との合わせ技による確認がしやすい、ということが前提になっている。
筆者が今使っているツールはすべて、「録音とメモの時間同期」に対応している。
タイプするときに同時に録音をしておくと、あとで見直す際、「ある部分をタイプしていたとき、そこではなにが話されていたのか」を再生できる。要は、内容のチェックが必要なメモの部分だけ、録音を聴き直せるのだ。
録音をしていても、聞き直すのが面倒だと意味がない。「録音とメモの時間同期」の有無によって、録音の価値が大きく変わる。
「録音とメモの時間同期」はいくつかのソフトに搭載されている。
Windowsではマイクロソフトの「OneNote」を使うのがベストだろう。「PCに入っているが使っていない」という人はもったいない。機能が多いので複雑に見えるのが難点だが、録音とメモの同期ができる、という意味では定番のツールだ。タイプだけでなく、ペンの手書きメモでも問題ない。
OneNoteはMacでも同じように使えるが、iOS/iPadOS版、Android版のOneNoteでは、録音はできるが「メモをしながらの同時録音」はできない。スマホ版は録音を伴わないメモや、メモのビューワーとして使うのがおすすめだ。
Mac/iPadOS向けには、「Notability」がイチオシだ。筆者は長くこのツールを使っている。機能的にはOneNoteに近いが、UIがよりシンプルでわかりやすい。iPad版の場合、ペンで手書きメモもできる。タイプより手書きの方がいい、という人はiPad版を使うのがいいだろう。iPhoneでも使えるが、手書きメモはつかえない。文字入力+録音の同期は可能だ。データは問題なく見られるので、ビュワーとしても使える。
ただしNotabilityには、Windows版・Android版がない。DropboxやOneNoteなどのクラウドにデータ同期すると「PDF+録音」としては保存できるので、Windowsからデータを見ることだけはできる。
Androidで「ペン入力で録音と同時にメモ」するアプリとしては、なかなかいいものがない。サムスンのGalaxyシリーズ専用アプリである「Galaxy Note」の完成度が頭抜けている。データをOneNoteと同期することもできるので、PCからの確認もしやすい。
こうしたツールを使い、「メモを取りつつ後で確認し、まとめる」という手法を試してみてほしい。
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