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» 2022年05月10日 17時16分 公開

SaaS企業になったLayerXが経費精算サービスに参入 競合ひしめく市場に今から参入するワケ

LayerXが経費精算SaaS「バクラク経費精算」の提供を始めた。利用料は年額24万円(税別)から。すでに複数の競合が存在するにもかかわらず、同社が経費精算サービスに踏み込む理由とは。

[吉川大貴ITmedia]

 請求書をデータ化するSaaS「バクラク請求書」などを手掛けるLayerXは5月10日、経費精算SaaS「バクラク経費精算」の提供を始めた。利用料は年額24万円(税別)から。経費精算SaaSは競合が複数存在する一方、同社が行ったアンケートでは既存サービスの使いやすさを問題視する声が多かったことから、UXを重視してサービスを展開するという。

photo バクラク経費精算のUIのイメージ

 バクラク経費精算は、AI-OCRを活用し、複数の領収書をまとめて読み取る機能や、バクラク請求書との連携機能などを特徴とするサービス。13日には、1月に改正となった電子帳簿保存法にも対応する予定で、領収書を電子データとして保存する機能や、すでに取り込んだデータを基に領収書の二重登録を防ぐ機能なども搭載するという。

 開発に当たってはUXを重視。要件定義や開発には6カ月以上かけ、経費精算SaaSの利用者に100回以上のヒアリングを重ねたという。その背景には、LayerXが考える既存の経費精算SaaSの課題がある。

 LayerXが経費精算SaaSを使う企業の従業員554人に実施したアンケートによれば、ユーザーが経費精算サービスに求める項目は「使い方を教わらなくても使える」「操作回数が少なく、サクサク動く」「領収書の転記作業がない」が上位だったという。

 現在使っている経費精算SaaSの使い勝手を聞いたところ、過半数が作業を「面倒だと感じる」「やや面倒だと感じる」と答えた。LayerXは調査結果を踏まえ、業務効率化に向けたテクノロジーを強化している経費精算SaaSは多いものの、UXと両立できているサービスは少ないと判断。UXを重視したバクラク経費精算の展開を決めたという。

 LayerXが経費精算の領域に参入する理由はもう一つある。法人の支出に関する手順の全てで同社の製品を使えるようにするためだ。

 LayerXは法人の支出に関する手順を(1)書類の回収、(2)稟議、(3)承認、(4)データ入力、(5)仕訳や支払いデータ作成、(6)支払い・会計ソフトへの反映、(7)保管・税務・監査対応──の7ステップに分けている。

 このうち請求支払いに関わる(1)(2)(3)の業務は申請の自動化機能などを提供する「バクラク申請」で、(4)(5)はバクラク請求書、(7)は取引情報などを電子化して保存する「バクラク電子帳簿保存」で対応している。しかし、経費精算に関わる(1)(2)(3)の業務は対応できていなかった。

 そこで新たにバクラク経費精算をリリースし、一連の業務をLayerXのサービスだけで完結できるようにする狙いだ。まだ手を付けていない(6)の領域についても、同社製品との連携が可能な法人向けカードサービス「バクラクカード」(仮称)の提供を2022年内に始めることで対応するという。

 「バクラク=請求書SaaSという捉え方をしている人も多い。今まではそれで正しかったが、これからは法人の支出を管理し、いかに効率化するかというSaaSとして展開していく」(福島良典CEO)

photo LayerXの福島良典CEO

 LayerXは18年設立。当初はブロックチェーンのコンサルティングなどを手掛けていたが、日本でこの事業を展開するには日本企業のデジタル化が先決という判断から20年に撤退。以降はSaaSやフィンテック事業を展開している。

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