「よくPPFはラッピングと比較されますし、自分もラッピング施工も行いますが、両者は似て非なるものとご理解ください。求められる施工テクニックは微妙に違うんです。PPFでは、ラッピングシートのように、あらゆるボディーパネルのエッジで深く巻き込むのは、PPFでは、その材質の特質上、難しいんですよ」(鷹松氏)
ラッピングとは、クルマに薄い樹脂製シートを貼り付けることで、そのクルマの色を変えてしまったり、その他グラフィック(図柄)を貼り付けて愛車のイメージチェンジが楽しめる、新スタイルのボディーカスタマイズだ。
ラッピング用のラッピングシートは厚さにして約0.1mm程度で、ラッピングシートをヒートガンやドライヤーで加熱しながら比較的容易に曲げつつ接着していける。しかし、PPFの場合、"保護"フィルムという役割を果たすために、その厚みはラッピングシートの約2倍の0.2mm程度と厚く、前述したその自己復元力の高さから、巻き込んで貼り付けていくにも限度があるのだ。なお、無理に巻き込んでも、巻き込んだ箇所の曲率と、PPF自体の曲がり状態の維持力、そして接着面の維持力のバランス如何で、剥がれてきてしまう場合もあるという。
「無理に巻き込まない…という選択が必要な箇所もあるんですよ。そこは過去の経験が生かされる部分ですね(笑)」(鷹松氏)
鷹松氏によれば、PPFの施工で、一番大変なのは、やはりフロントバンパーだそう。既に前述しているが、「クルマの顔」ともいえるフロントバンパーは、細かい凹凸面の組み合わせでデザインされているため、必然的にPPFパーツは細かく分割されることになり、ひいては、施工の手間が増える。PPFパーツの貼り際と貼り際が隣接することもあり、その「継ぎ目」を隠すための工夫も強いられる。「純粋な手間」も増えるし、「頭を使うべきポイント」も増えるし、施工者に対する負担が大きくなるわけである。
「GT-R nismo Special Editionのフロントバンパー、そしてダクトのあいたフェンダーなどは形状が複雑でしたから、けっこう手強かったですよ(笑)」(鷹松氏)
今回、鷹松氏が筆者のGT-R nismo Special Editionに対して施工している様子の一部を動画に収めさせていただいたので、下に公開することにしたい。
一週間以上掛かっている全施工工程のごく一部の映像ではあるが、それでも1時間以上はあるので、最初から通して見るのもよし、気になる部位の施工を集中してみるのもよし、各自、お好みの視聴スタイルで楽しんでいただきたい。本文中で語られている鷹松氏のPPFの折り込みテクニックも存分に映っているので、PPFに興味がある人はぜひ。
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