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いまだに新車でボディーコーティングしてるの!? 現場のプロに聞くペイントプロテクションフィルム最新動向西川善司の「日産GT-Rとのシン・生活」(1/7 ページ)

» 2022年05月18日 10時25分 公開
[西川善司ITmedia]

 前回からだいぶ間が空いてしまったこの連載だが気を取り直して再開していくことにしたい。

 連載は停滞していたが、自分の愛車との付き合いは順調に継続しており、2022年4月頭には、ついに走行距離2000kmに到達したので、「GT-R特別点検」の一環である「新車2000km点検」を受けてきた。このあたりの話はいずれ回を改めてお届けしたい。

 さて、今回は、引き続き、ペイントプロテクションフィルム(PPF)の話題をお届けする。

 前回の記事は「新しい車を買ったら何も考えずにボディーコーティング」という最近主流の流れに対し「PPFというソリューションもあるよ」という提案をしつつ、「PPFってなあに?」という疑問に対する解説のような、うんちく主体の内容だった。

 今回は、実際に筆者のGT-R nismo Special Editionに対しPPF施工を行ってくれた工房の代表の方へのインタビューをお届けする。

photo 忙しい中、インタビューに対応してくれた工房の鷹松由蔵代表。写真は施工完了後に筆者が車を受け取りに行った際に撮影したモノ

地方ではまだマイナーなPPFという選択

 魅力的なPPFだが、今はまだ施工対応してくれる工房はそれほど多くはない。正確には大都市部には「そこそこある」のだが、地方にはまだ少ない……というイメージだ。オートバックスやイエローハットのような自動車グッズ量販店の一部店舗ではPPFの取り扱いが始まっているようだが、その数は少なめ。

 筆者が住む、さいたま市周辺でネット検索で調べて見つかったのはわずか数カ所だけだった。

 友人からの紹介とかではなく、ネットで調べて知っただけの完全な「一見さん」状態だったので、Webサイトの「お問い合わせ」ページから見積もりを依頼するところから始め、実際に、商談の申し入れをしてからの反応が早かったところに決めた。筆者が選択したのはさいたま新都心近隣にある鷹松というカーボディー工房であった。

photo 鷹松の工房入り口。奥には施工中の筆者の愛車が見える。

 同社代表の鷹松由蔵氏は、16年ほど前から自動車販売・整備業に従事してきた経歴を持ち、そのキャリアの最初期から高級スポーツカーや輸入車の取り扱いを行ってきたことがきっかけとなり、9年ほど前からボディーコーティング、ラッピング、ペイントプロテクションフィルムなどの施工に注力しているという。

 PPF施工対象車の中心はやはり輸入車が多いが、最近では、トヨタ「クラウン」、マツダ「MAZDA 3」といった国産車に対する施工依頼も増えてきたそうだ。PPFの認知も少しずつ広がっているようである。

 「とはいえまだ輸入車のお客さんが多いですね。一般の国産車のカーディーラーの営業マンへの認知がまだまだ進んでいませんから」(鷹松氏)

photo

 現在、日本におけるPPFの施工料金の相場は、PPF本場のアメリカと比べて約2倍、施工店によってはそれ以上となっている。これはまだ日本では「知る人ぞ知る」くらいの認知度で、施工店間での競争が起きておらず、日本独自の相場が形成されつつあるからだ。施工店側からみれば、PPFについては安くしようにも、「忙しくて手に負えないほど受注が多い」というわけでもないため、設備費用の償却や事業維持のためにも施工単価はそれなりに上がってしまうわけである。

 現状の日本では、PPFの存在を知っているディーラーマンがまだまだ少ないこともあり、ディーラーからのPPF受注を行えている日本の施工店はほとんどないようだ。アメリカのようにメーカー正規ディーラーでの標準メニューとして提案されるにはまだ時間が掛かりそうである。

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