矢崎 まあ、私自身はね、会社にそもそも長くいるつもりはなかったんですけど。
編集長候補をね、またどこかから連れてくるんじゃなくて、後輩にバトンタッチしたかったんですよ。
誰だかは分からないですけど。
西田 Engadgetの伝統というとアレだけど、中身というのをきちんと分かってて、育ててくれそうな後輩に引き継ぎたかったと。
矢崎 そうですね。
まあ、こういうことがあって、みんながすごく心配してくれてて、それはすごく嬉しいんです。
でも、……なんていうか……「どうしよう」と落ち込んでるかというと、けっこうね、この稀有な体験をみんな楽しんでる感じ。
西田 ああ、そうなんだ。
それは、逆に楽しめるぐらい、次の可能性、自分たちのキャリアの次の可能性があるって感じてるから楽しいと思えるのか。
それとも、そもそもある種「笑っちゃってる」状態なのか。
矢崎 それはね、両方あって(笑)。
西田 両方かあー。
矢崎 両方あって。
私自身も西田さんにお話ししましたけど、私自身も、あらゆる可能性を探りたくて。
新しい後継媒体をやる、という話についても「支援したいです」と言ってくださってる方がけっこういらっしゃる。だからその可能性もある。
ただ同時に、各自がどこかの既存のメディアに入って活躍する、という機会もまたあると思う。
私はもうほとんどの媒体の知り合いに、編集部全員のリストを送ってるんですよ。
日経さんもアスキーもITmediaもImpressも、ほとんどの媒体に。人手が足りてないと聞くし、「もしいい機会があったらお願いします」って。お節介なぐらいまでに、みんなの次のキャリアに対して世話を焼いてやっている感じ。
まあ、けっこうね、みんなこの状況を楽しみながらやっています。
ただ、唯一、Ittousaiだけは温度感が違いますね。
西田 そうか。自分が作ってきたものの看板が外れるわけだから。
矢崎 それと、彼は、この17年間のすべてがEngadgetしかないんですよ。他で一切書いてないし(注:Ittousai本人によれば、「そっと別名で他に書いて、バレてないものもある」そうだが)、すべてがここにしかないから、すべてを奪われることになるわけですね。
17年間。記事のアーカイブは残らないから、今回。これもね、またちょっと物議をかもしていますけど。
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