実はPC 97で定められたものはかなり多い。すぐに廃れてしまった(なにしろEthernetに移行してしまった)がModem 97という規格もあった(正式にはModem for PC 97)。仕様だけで言えば、USB、IEEE1394、PCI、ISA、ATA、ATAPI、SCSI、PC Card、Serial、 Parallel、Wireless、Input Components、Graphic、Video、Audio、Storage、Modem、Network Communications、Printers、Scanners and Digital Camerasと17種類のカテゴリーに分かれてそれぞれ仕様が定められているのだが、AC 97の様に新しく定められたものはなく、既存のデバイスに対してPC 97の要求仕様を定めた格好になる。
このPC 97での要求仕様は、それぞれのデバイスの仕様にほぼ取り込まれており、なのでPC 97の目的は果たされたと考えてよい。続くPC 98/99/2001はこの仕様のバージョンアップというべきか。例えばAudioでは、PC 99ではCodecの仕様がこんな具合(写真5)に細かく定められているが、これはPC 97では未定だった部分を明確にしたという格好である。
このシリーズがPC 2001で終わったのは、これに関してIntel側で担当していたIALが解体されたことと無縁ではないだろうが、PCというものの方向性がこの辺りから変わり始めていた事も関係しているかもしれない。Wintelの蜜月時代(ただしにこやかに握手しながら足で蹴りあう類の蜜月、という話はこの記事でもちょっと触れた)が終わりに近づいてきたからだ。
この時期、Microsoftは非x86プラットフォームへのWindows移植を真剣に検討し始めている。そもそもWindows NTがその走りではあったが、Windows CEも非x86プラットフォームに向けて広く提供されるなど、少なくともMicrosoft自身はx86に縛られることを良しとせず、これは当然Intelには気に入らない動きである。かくしてMicrosoftはこの後、広い意味での協力関係をIntelとは維持しつつも、以前の緊密さとは一線を画した形で付き合い始め、これは当然PCの方向性にも影響を与える事になる。
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