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「歌舞伎でヒーローショーをやりたい」 中村獅童+初音ミクの超歌舞伎「永遠花誉功」ができるまで ニコニコ超会議統括プロデューサーに聞いた(1/5 ページ)

» 2022年05月27日 12時47分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 2022年のニコニコ超会議は、久しぶりのリアルでの開催となった。そして、恒例の超歌舞伎も観客を入れての興業、しかも、上演時間も今までで最長の約1時間50分、また出演する歌舞伎俳優も過去最多の、豪華な舞台となった。

photo 超歌舞伎「永遠花誉功」 脚本:松岡亮、演出・振付け:藤間勘十郎、出演:中村獅童、初音ミク、中村蝶紫、澤村國矢、他。劇中曲:「初音ミクの消失」作詞・作曲:cosMo@暴走P

 演目は『永遠花誉功(とわのはなほまれのいさおし)』、2022年4月29日、30日の13時と16時の計4回行われた。会場は満員、更に2日間の生中継の視聴者数は約59万6000人、今回、過去の超歌舞伎作品を5作品、ネットで配信、その視聴者も合わせると、総来場者数約115万人を記録した。

 中村獅童の「ただいまー!」という叫びに沢山のコメントとペンライトが応え、客も出演者も待ちに待った超歌舞伎は、実際、今まで最高のエンターテインメントであり、最高に「歌舞伎」であった。

photo いつものように中村獅童、初音ミクの口上から始まる。この時点で、ミクの解像度の高さと、距離の近さ、金屏風の前に座っているように見えるリアリティにより、前回までと全く違うことが分かる

 今回の超歌舞伎のベースとなったのは、近松半二作の義太夫狂言『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』。独裁者である蘇我入鹿を倒し、大化の改新への道を作った人々の物語は、期せずして、現状と不思議なリンクを見せ、そこに「わたしは誰かにつくられる物語」という初音ミクの存在を暗示するようなコピーが重なる。

 それだけで、面白さは保証されたようなものだが、今回、技術面でも演出面でも、従来の超歌舞伎を超えるアイデアが連発され、これまでの超歌舞伎のお約束をことごとく破る新しい「歌舞伎」が作られていた。その新しさと面白さがどこから来たのか、どのように実現されたのかについて、ニコニコ超会議統括プロデューサーの横澤大輔氏に話をうかがった。

photo ニコニコ超会議、超歌舞伎の統括プロデューサーを務める、横澤大輔氏
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