カナダの量子ベンチャーXanadu(ザナドゥ)は6月1日(現地時間)、特定のタスクで世界最高性能のスーパーコンピュータの計算速度を上回るとする光量子コンピュータ「Borealis」をAmazon Web Services(AWS)上で提供すると発表した。
XanaduはBorealisを使って、量子コンピュータの計算能力が従来のスーパーコンピュータを上回ることを示す「量子超越性」を持つことを実証。「初めての完全にプログラマブルな光量子コンピュータであり、量子超越性を持つマシンがクラウドで一般に公開されたのも初めてだ」と同社は説明している。この成果は、英科学雑誌「Nature」に6月1日付で掲載された。
Borealisは、ユーザーが指定したプログラムに従い、3次元的に絡み合った216個のスクイズド状態(量子ゆらぎを抑えた状態)の光量子ビットを合成し、計算を行う。スーパーコンピュータ「富岳」が9000年かけて行う計算をBorealisでは、36μ秒(1μ秒=100万分の1秒)で計算できるという。
Xanaduのクリスチャン・ウィードブルックCEOは「この成果は量子コンピュータにとって、大きなマイルストーンの一つだ」と話す。世界中の研究者や開発者がBorealisを使い、次世代電池開発や創薬、金融、物流などさまざまな分野の難問を解決することを期待する。
Borealisは、AWSの量子コンピュータのフルマネージドサービス「Amazon Braket」やXanaduのクラウドプラットフォーム「Xanadu Cloud」から利用できる。
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