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「WWDC22」から見えたAppleの狙い “ゲームとクルマ”の攻略は実現するか(1/4 ページ)

» 2022年06月09日 13時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

 アップルの開発者会議「WWDC22」が開催中だ。WWDCとしては3年ぶりに「リアルでの開催」とオンライン開催をセットにしたイベントになったが、色々と示唆にも富んでいた。

基調講演はカリフォルニアの日差しの中で行われ、ちょっとした野外フェスの趣だった。

 基調講演と、その後に得られた情報を加味し、今回のアップルの発表を分析してみよう。

「M2」でアピールする「Appleシリコン定着期」

 WWDCはあくまで開発者会議であって、新製品発表の場というわけではない。だが、アップルが何かの発表をするということになると、新製品に期待してしまうファン心理もわかる。

 ただ、出るとすればそこには、場に合わせた何らかの意味がある。

 今回、MacBook Airや13インチMacBook Proが出たのは、単に製品を刷新したかったからではなく、「M2」への移行とセットでアピールしたかったからだろう。順調に進むAppleシリコン移行を強調し、「移行初期」から「定着期」へのステップアップを示すものと言えそうだ。ハードウエアのデザインは明確に「14インチ MacBook Pro」を意識しており、同じデザインフィロソフィーでアップデートされたもの、と言っていいだろう。

新MacBook Air。発売は7月だが、会場ではプレス向けにハンズオンイベントも行われた。
奥が現行の、手前が新形のMacBook Air。デザインがよりスクエアで剛性を感じさせるものに変わっている。
MacBook Airの詳細

 ではM2はどんなプロセッサなのか?

 基本的には、「マス向けMac用プロセッサの進化版」である。プロ向けである「M1 Pro」や「M1 Max」、「M1 Ultra」とはちょっと違う存在だ。M1からM2への移行では、半導体製造プロセス、高効率CPUコア、GPUコアのアップデートが総合的に機能したことにより、性能の向上が期待できる。

新プロセッサ「M2」の概要

 ただ一方で、M2がM1 ProやM1 Maxより速い、ということはないようで、方向性は異なる。外部ディスプレイの接続可能数もM1からM2で変化はしていない。搭載メモリーも24GBまでで、M1 Maxなどより少ない。

 搭載メモリーの量は、メモリーチップの密度と規格、メモリーコントローラーチャンネル数で決まる。

 M1とM2でメモリーコントトーラチャンネル数は変わっていないようだ。一方で、メモリーチップの密度と規格は進化し、LPPDR4からLPDDR5になって高速化し、密度も上がった。結果として16GBが32GBになるのではなく「24GB」になったようだ。

M2のメインメモリーは最大「24GB」

 今後メモリーを増やす可能性もあるが、仮に「M2 Max」などがあるとすれば、メモリーコントローラチャンネル数が増えることになり、その分メモリー量も増えることになるだろう。

 そうした部分を考えてもM2は「普及型・マス向けMac」を刷新するためのAppleシリコン、ということになる。

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