筆者は普段からかなり頻繁に動画を撮影、編集しており、2日1度は「DaVinci Resolve Studio」を使う毎日である。そういう視点から、動画編集の視点でOrbital2 STERNA有用性を検証してみたい。
今でこそ映像編集はソフトウェアで行なうようになったが、古くはハードウェアであるビデオデッキやスイッチャーを、インターフェースを介してコンピュータで動く編集システムに接続し、コントロールしていた。そういう意味では、元々キーボードタイプのコントローラーがあった。
現在ポストプロダクションでもキーボードタイプのコントローラーが導入されており、DaVinci Resolveの場合は個人でも購入できる。筆者はこれよりももうちょっと小型の「Speed Editor」を使っている。
Orbital2 STERNAを併用する際のポイントとしては、あくまでも左手(利き手ではない方)用のコントローラーだということだ。細かい操作は右手で行ない、左手は補助的に使用することになる。
このSpeed Editorは、簡易編集機能の「カットページ」向けに作られているので、メインの編集機能である「エディットページ」では、機能的に足りない。したがってエディットページでSpeed Edtorを使う際の補完的なコントローラーとして、Orbital2 STERNAを使うほうがいい。
Orbital2向けに公開されているDaVinci Resolveのプロファイルは、再生動作やIN点、OUT点の設定動作も入っているが、これは動画編集におけるメイン作業である。それをわざわざ利き手ではない左手でやる必要はない。本物の編集機も、ジョグシャトルやIN・OUT設定ボタンは右側にあり、元々右手で操作するものなのである。
そこで、これまでマウスやキーボードで行なっていたタイムライン選択操作をJoystickモードに割り当ててみた。上下左右に倒すと、タイムライン上のクリップ選択が移動、左上・右上が編集点への移動、左下・右下がIN点・OUT点への移動である。
タイムラインの拡大と縮小、フィットはダイヤル部に割り当てた。ただ、タイムラインの拡大「Command + =」だけは、動作しなかった。キーボードでは動作するものの、Orbital2 STERNA側から「Command + =」のキーコマンドが出ていないようだ。Orbital2 STERNAのソフトウェアはまだ最終版ではないので、ドライバかコントロールソフト側の問題かもしれない。
実際にOrbital2 STERNAを使って、細かい動きが必要なコントロールをしようとすると、機能的には可能にも関わらず、利き手ではない故に思ったような動作にならない場合がある。あくまでも細かいことは利き手で行ない、ツールの持ち替えやモード切り替え、拡大・縮小といったサポートに徹するべきだろう。
クリエイターにとって、利き手の健康は生命線だ。疲労や腱鞘炎でうまく動かせなくなると、作品のクオリティに大きく影響する。これまでクリエイティブワーク向けの専用コントローラーは数多く登場してきているが、利き手ではない方にフォーカスしたツールは珍しい。数をこなしてると右手がダルい、という人は、こうした補助ツールを使って、手作業を左右に振り分ける必要がある。
単純なショートカット代理だけでなく、マクロ用の動作スイッチとしても使えるので、クリエイティブツールに限らず、表計算やファイル操作における単純作業の繰り返しから解放してくれるだろう。眠っていた左手を拡張してくれるツールと言えそうだ。
文字起こしと日本語入力の未来
iPodは「Goodbye, MD」し、世界を変えて、Goodbyeした
「iPhoneにサイドローディングさせろ」を国が言うのは妥当かCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR