ITmedia NEWS >

AppleのFIDOサインイン認証情報「パスキー」の仕組み Google、Microsoftと共同で推進する「パスワードを不要にする認証」(2/2 ページ)

» 2022年06月13日 21時33分 公開
[MACお宝鑑定団]
MACお宝鑑定団
前のページへ 1|2       

AirDropでアカウントを共有できる

 パスキーを保存する際に、新しいパスワードを考えたり、複雑な条件を満たそうとしたりする必要はない。それぞれのパスキーはシステムによって生成され、強度が保証されており、1つのアカウントにのみ使用される。

 パスワードの代わりとして重要なのが、2人以上でアカウントを共有できる機能だ。

photo パスキーの共有

 パスキーを誰かと共有するには、AirDropを使用する。

 自分とパートナーがShiny(犬)のアカウントも共有しており、こちらはすでにパスキーを使うようにアップグレードしているとする。

 パスキーの場合、クレデンシャルは私が入力できるものではありませんが、それでも信頼できる人たちと共有することは可能だ。

 パスキーはWebAuthenticationまたはWebAuthn標準をベースに構築されており、公開鍵暗号方式を使用する。

photo パスキーのUI

 入力可能な単語や文字列ではなく、一意の暗号キーペアがアカウントごとに生成される。

 パスキーによるサインインを行うには、サーバのバックエンドにWebAuthnを採用する必要がある。

 標準的なWebAuthnサーバの実装であれば、パスキーに対応することができる。

 Appleプラットフォームのアプリでは、パスキーはAuthenticationServicesフレームワークの「ASAuthorization API」ファミリーに含まれる。

 これは、パスワード、セキュリティキー、Sign in with Appleなど、あらゆる種類の認証情報を扱うためのAPIだ。

 また、AutoFillのサポートなど、使用できる新しいメソッドもいくつか追加され、このAPIをさらに柔軟にして、既存のサインインフローにシームレスに適合させることが可能になる。

 アプリでパスキーを使い始めるには、まずwebcredentialsサービスを使用して、関連するドメインを設定する必要がある。

 Webプラットフォームも、AutoFillアシストとモーダルパスキーの両方のリクエストをサポートしている。

photo パスキー

 Webでは、セキュリティ キーにも使用される標準のWebAuthn APIを介してパスキーが使用される。

 アプリと同様に、AutoFillアシストリクエストを採用すると、Touch IDだけですばやくサインインしたり、利用可能なすべてのパスキーとパスワードを取得したり、近くのデバイスからパスキーを使用したりすることができ、これらはすべて非常に短いコードで実現できる。

 鍵ペアの片方が公開鍵で、これはサーバ上に保管される。この公開鍵はシークレット(秘密)ではない。

photo パスキーの堅牢性

 もう片方が秘密鍵で、実際にサインインする際にはこれが必要だ。秘密鍵が何かサーバ側が知ることはない。Touch IDまたはFace IDに対応したApple製デバイスでは、Touch IDやFace IDでパスキーの利用を承認でき、それを受けて、Appや Webサイトに対してユーザーの本人確認が行われる。

 共有のシークレットが転送されることもなく、サーバが秘密鍵を保護する必要もない。このため、パスキーは非常に強力かつ使いやすい、フィッシング詐欺対策に秀でた資格情報になるのだ。

前のページへ 1|2       

Copyright (C) 1998 Mac Treasure Tracing Club. All rights reserved.