なのだけど、その形状はあまりに従来のタオルから離れているし、実際のところ、「これ便利なの?」という印象のまま使い始めたのだけど、前述した折り畳み傘の始末にものすごく役立つので驚いたのだった。
スティック型という、タオルとしては明らかに使いにくい形状なのだが、畳んだ折り畳み傘をざっと拭いて水滴を取るのにはとても適していたのだ。
私は、折り畳み傘はKnirpsの「T.220」という自動開閉タイプの製品を使っている。そのおかげで畳む段階では、手が濡れることはない。畳んでシャフトを収納した後、傘本体を振って、ざっと水滴を落としたら、STTA スティックタイプで、傘の表面を撫でるようにすると、それだけでかなりの水滴が取り除けるのだ。あとは、手で巻いて傘袋に入れれば、カバンに入れても他のモノを濡らす心配はない。
拭いたSTTAは、軽く絞ってやると、それだけで水分が外に出るので、そのまま本体を握って、手に付いた水分を落として、これもまたカバンへ。この、軽く絞るだけで、吸った水分が排出されて、表面もほとんど濡れていない状態になるのが、この製品の凄いところなのだということに、ようやく気がついたのは、この一連の作業を試みた時だった。
ポイントは、この「STTA スティックタイプ」に使われている、「ソフラス」という素材の吸水性と排水性の両立だ。ブランディングとデザインを担当したkenmaの代表取締役である今井裕平氏の「ソフラスは、吸水性、保水性が目立っていますが、僕は、排水性能の高さに注目してデザインを考えました」という言葉通り、吸水性に優れた素材というのは、タオルの素材としても様々なものが使われているが、この排水性能の高さが、日常生活の中での利用にとても役立つのだ。
もちろん、ソフラスという素材自体の、吸水性能、保水性能も凄まじい。この素材はアイオンが5年を掛けて開発したもので、その吸水性は珪藻土の約3倍、吸水速度は約6倍だという。しかも、長く半導体関連や精密機械の洗浄に使われていて、現場の要求に応えてバージョンアップしてきた素材。強い薬剤なども使われる現場での使用が前提なので、高性能なのはもちろん、とにかく、耐熱性や耐薬品性に優れている、まあ、言ってしまえば日常生活で使うにはオーバースペックの素材ではある。
でも、それだけに、その性能は確かで、それこそ手を洗った後の水滴などは、あっという間に取れて、しかも表面を触ってもほとんど濡れていない。そのまま中の水分は蒸発するから、使用後もあまり気にせずにいられるのがあり難いのだ。つまり、手を洗った後、すぐにギターが弾ける。私はカバンの中に1つ、机の上にも1つ、常備している。
嬉しいのは、このスティック状のデザインのおかげで、机の上にも置きやすいし、カバンにも入れておきやすいこと。実は、この素材、成形が難しく、また素材自体も高価なので、薄く平たく作ったものを巻くという形にしたのだそうだが、それが、従来のタオルなどと違った形での使用を可能にしたわけだ。このあたりも、使ってみて分かる部分で、この決して分かりやすいとは言えない製品が結構売れているというのは、水滴ストレスに悩む人が意外に多いということでもあるのだろう。
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