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“同人系即売イベント”特化のQRコード決済サービス「CirclePAY」とは?(2/4 ページ)

» 2022年07月29日 08時00分 公開
[長浜和也ITmedia]

 キャッシュレス決済を導入するとき、導入するサークルはその決済サービスに「加盟店」として参加することになる。加盟店となるには決済サービスを運営する企業の審査に合格する必要がある。この審査が個人で即売イベントに参加するサークルにとって大きなハードルになる。

 審査基準の条件について、多くのキャッシュレス決済サービスは明確にしていないものの、実際に申し込みをした同人サークルの声を基に推測してみると、まず「固定した店舗」を持たない場合は審査で受け付けてもらえない。

 このあたりの条件が比較的緩やかだったのが決済サービス「Square」だ。個人の同人サークルでクレジットカード決済に対応しているブースの多くは、Squareのカードリーダーを使用していた。

 Squareが2019年にリリースしたカードリーダーでは、カードを差し込んでICチップを読み取らせる方法の他に、俗にいう「タッチ決済」にも対応した。

 それに合わせて交通系IC非接触決済にも対応するようになり、首都圏ならばSuicaやPASUMOを使った決済も可能になった。タッチ決済の場合、従来必要だった「署名」が不要になり、カードをリーダーにかざすだけで決済が完了する。

 これまで購入規模者が列をなしているような混雑時には(対応が煩雑になりがちな)キャッシュレス決済の対応を控えていたようなサークルも、逆に現金が不要になることで購入時のやりとりが短時間で終わるキャッシュレス決済を積極的に使う理由になる。さあ、即売イベントに出展する同人サークルの皆さん、好機来たり。キャッシュレス決済を導入しましょう!

 ……と思ったが、Squareも現在は“事業者”の審査が厳格になりつつある。固定店舗を持たない移動式店舗でも利用できるのは従来通り“らしい”が(個人で確認できた事例の範囲内でいえること)、Square加盟店規約で定められている個人間取引および事業目的に限ってSquareのサービスを使用していることを示すためには開業届を提出するなど税務署に適切な届け出をすることが求められるようになってきている。

 これは、過去にSquareの加入審査が済んでいる場合でも継続的に加入審査を実施しているため、ある時点でSquare内部の審査基準が厳しくなって以前提出していた書類ではその基準を満たせなくなった場合にSquareサービスが利用できなくなる可能性もある。

 以上のような理由で、時代はキャッシュレス決済に向かおうとしているのに、即売イベントの決済手段としては逆に利用しにくくなっている、ともいえる。

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