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“同人系即売イベント”特化のQRコード決済サービス「CirclePAY」とは?(4/4 ページ)

» 2022年07月29日 08時00分 公開
[長浜和也ITmedia]
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CirclePAYの仕組み

 2022年7月11日時点で、サークルペイはクレジットカード「UCカード」運営会社のユーシーカードと加盟店契約を結んでいる。そのため、サークルペイはUCカードで利用できるQR決済サービス「J-Coin Pay」を利用できる。

photo C99の会場で登録手続きをしてすぐに発行されたCirclePAYのQRコード。連携していたJ-Cone PayのPOPに張り付けて展示できるようになっていた

 加えて、サークルペイは同人サークル当事者である個人がCirclePAYに登録した時点で「子加盟店契約」を結ぶ。CirclePAYではユーシーカードの承認を受けた上で、「子加盟店=同人サークル当事者」である個人の信用を担保して加盟店であるサークルペイの組織の一部としてJ-Coin Payを利用できるようにしている。

 CirclePAYはサークルペイが加盟店契約を結んだクレジットカード運営会社ごとに、その運営企業で対応している決済サービスを利用できるようになる。運営会社の対応状況によっては、J-Coin Pay以外の「一般に広く普及しているキャッシュレス決済サービス」が使えるようになる可能性もある。そういう意味では柔軟性のある仕掛けともいえる。

 サークルペイ代表取締役社長の佐藤一毅氏は、CirclePAY開発のきっかけとして「即売イベントで個人でも契約できるキャッシュレス決済の提供」を挙げている。

photo サークルペイ代表取締役社長の佐藤一毅氏

 中国などの屋台や、それこそ同人サークルが集まる即売イベントで半数以上のブースがQRコード決済を利用しているのを目撃したのが2017年から2018年ごろ。当時、日本でも一部の同人サークルがキャッシュレス決済の導入を試みていたが、先に述べたような事情で個人事業主はまだしも固定店舗を持たない個人による同人サークルが加盟店契約をするのは困難で現実的ではなかった。

 即売イベントでのキャッシュレス決済を目指していた「PixivPAY」も2020年12月に運用を停止している(関連記事)。

 一方で、COVID-19の世界的まん延などによって非接触決済を求める声は格段に大きくなっている。同人サークルが多数参加する即売イベントのリアル開催を実現するためには、個人が利用できるキャッシュレス決済方法の提供と導入は政府や自治体からの要請もあって必須だった。

 この状況下において、個人がQRコード決済を使えるようにするべく開発したのがCirclePAYだったと佐藤氏は説明する。

 即売イベントの世界は意外と移り変わりに時間がかかる。コミックマーケットの申し込みでは、長年使われてきた冊子版の他にオンライン申込にも対応しているが、そのオンライン利用が全体の半分まで来るのに5年間を要したと佐藤氏は話す。

 それゆえ、キャッシュレス決済への移行も時間がかかるとしているが、いまオンラインショップの利用が増えて自販機やコンビニなどでもキャッシュレス決済が当たり前になって現金を扱うのが面倒と思う人が増えていく中で、即売イベントでもキャッシュレス決済を選択する人が多数となる可能性が高いと佐藤氏は見ている。そのときの決済インフラとして、個人の同人サークルでも導入可能なCirclePAYを広めていきたいという。

 なお、既にCirclePAYを導入した同人サークルから出ている要望の一つとして、CirclePAYの売り上げを現金化するときに、イベント開催時期によっては口座振込まで時間がかかってしまうこと、自動口座振込が可能になる売上金の最低額が設けられていることへの改善が挙がっており、運営側も認識しているという。改善に向けて、さらなる発展を期待したい。

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