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騒がしい場所でもビデオ会議できる? Google初のノイキャンイヤフォン「Pixel Buds Pro」の実力(3/3 ページ)

» 2022年07月30日 10時00分 公開
[山川晶之ITmedia]
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イマイチ……と感じる部分も

 ノイズキャンセリング性能は抜群のPixel Buds Proだが、肝心の音質はどうだろう。スッキリめのサウンドで、解像度が高く高域のヌケの良さが印象的だったPixel Budsと比べて、高域はやや大人しくなっている印象だ。数日間の試用のため、“慣らし運転”が終わっていない可能性もあるが、Pixel Buds Proの高域は若干だが刺さる感じもある。一方で、低域は量感が増し曲の屋台骨を支えている。この価格帯のANCイヤフォンとしては十分な音質ではないだろうか。個人的な好みだが、音楽を聴いてて楽しいのはどちらかというとPixel Budsの方だ。

 ワイヤレスイヤフォンとしての基本性能はいろいろとアップデートされている。Pixel Budsで散見された音飛びや左右の音ズレは明らかに少なくなっており、安定して音楽が聴ける。バッテリー駆動時間も格段に伸びており、ANCオンで7時間、ANCオフで11時間と十分だ。ケースは、Pixel Budsと同じサイズ・外見をキープしており、引き続きワイヤレス充電にも対応する。

 気になる点もある。イヤフォンの形状と表面加工だ。Pixel Budsは本体から生えたゴムの突起がフックとなり、耳のなかでうまくフィットしていたが、Pixel Buds Proは大幅に形が変わり、突起のないヌメッとした長方形のシルエットに変わった。形状的な引っ掛かりもなく表面もスベスベしているため、乾燥肌の筆者の指だとケースから取り出すのも容易ではなく、装着もしづらい。マットな質感にするなど、摩擦係数が高い表面加工のほうが扱いやすいと感じた。

外観はPixel Budsと比べて大幅に変わっており、ゴムの突起がなくなった
イヤーチップを固定するノズルの形も全く違う。Pixel Buds Proのシルエットはヌメッとした長方形だ

 そして、引っ掛かりのないシルエットは装着感にも影響を与える。筆者の場合、左耳はいい感じに収まったが、右耳はうまくフィットせず、カナル式のイヤーチップをねじ込んで固定するしかなかった。激しい運動をしたら落とす可能性もある。大型ドライバー、自社開発チップ、大容量バッテリーなどのパーツを詰め込む必要があるため、本体設計の難しさは理解できるが、個人的には形状の再検討をお願いしたいレベルだ。

筆者が装着した様子。本体は厚みもなく小さいため、耳からの出っ張りは少ない

2万3800円は妥当か?

 肝心の価格は2万3800円。ワイヤレスイヤフォンとしては高価な部類だが、昨今の値上げ基調からすると決して高くはない。米国価格は199ドルで、税別に合わせると1ドル約109円で為替レートが設定されていることになる。ANC対応イヤフォンで人気の「AirPods Pro」が3万580円から3万8800円に値上げされたのを見ると、Pixel 6aと同じく、だいぶ頑張った価格設定だと分かる。

 しかし、ANC対応ワイヤレスイヤフォンは競合ひしめく厳しい市場であることに違いはなく、低価格でANCを実現しているメーカーも多い。さらに、ANC搭載かつAIを使った環境ノイズを抑制する商品としては、先述のソニーのLinkBuds Sあたりがライバルになるだろうか。

 ノイズキャンセリング性能に加え、カスタムチップで実現したAI機能など、いかに他社にない「Googleらしさ」を示せるかが、訴求する上での鍵になるだろう。

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