Cloudflare、フォーラムKiwi Farmsをブロック 「命にかかわる脅威と判断」

[佐藤由紀子，ITmedia]

　Webサイトのホスティングおよびセキュリティのプロバイダーである米Cloudflareは9月3日（現地時間）、オンラインフォーラムのKiwi Farmsへのサービス提供を停止したと発表した。「Kiwi Farmsの特定の標的型脅威が過去48時間でエスカレートしており、前例のない緊急事態と人命への差し迫った脅威があると確信している」ため。

　本稿執筆現在、Kiwi FarmsのWebサイトを開こうとすると以下のようなメッセージが表示される。

　Cloudflareは、Kiwi Farmsに提供しているのはセキュリティサービスのみであるため、Kiwi Farmsがサイトを他のプロバイダーに移せばオンラインに戻る可能性があるとしている。

　Kiwi Farmsは、オンラインフォーラム8 chanの元管理者、ジョシュア・ムーン氏が2013年に立ち上げたオンラインフォーラム。LGBTQIA+の人々に対する嫌がらせやストーキングで知られており、自殺者も出ている。

　今回のサービス停止のきっかけになったのは、Twitchでの実況で知られるカナダ在住のトランスジェンダー活動家、クララ・ソレンティ氏への過激な嫌がらせだ。ソレンティ氏とその支持者らは8月初旬、Cloudflareに対し、サービス提供停止を求めるソーシャルキャンペーンを展開した。

　Cloudflareは8月31日には公式ブログで、Kiwi Farmsやキャンペーンについては直接触れずに、サービス停止は「権力の乱用になる」として停止しない意向を示していたが、今回それを翻した。

　3日のブログでは、Kiwi Farmsをブロックすることは「インターネットのインフラプロバイダーとしてのCloudlareの役割を考えると、危険な決定だ」が、「キャンペーンがエスカレートするにつれてKiwi Farmsでの言動もエスカレートしていった。（中略）この2週間、われわれは複数の法域の法執行機関に積極的に連絡を取り、サイトに投稿された潜在的な犯罪行為や人命に対する差し迫った脅威と思われるものを強調してきた」が、法による規制には時間がかかるため、ブロックに踏み切ったと説明した。

　同社がかつてネオナチサイトのThe Daily Stormerや乱射事件に関連して8chanのサポートを停止したことで、「権威主義政権」がCloudflareに対して人権団体へのサービス停止を要請してきたと説明した。「仮にあなたが酷いことや、人種差別的、偏見的なことを言っても電話会社が回線を切断することが無いのと同様に、私たちは政治家、政策立案者、専門家と協議して、公開された内容が卑劣だと考えてもセキュリティサービスを停止するのは間違った政策であるという結論に達しました」と語っていた。

　マシュー・プリンスCEOは公式ブログで、「Kiwi Farmsをブロックすることで一時的に状況に対処することはできるが、根本的な解決にはならないことを認識している。解決策は社会全体でさらに多くの作業を必要とする」と語った。

　ソレンティ氏はCloudflareの決定に対し、「正しいことのために立ち上がってくれてありがとう」とツイートした。

　Kiwi FarmsはTelegramの投稿で、「サイトをブロックするというCloudflareの決定は何の通告もなしに行われた。（中略）サイトに命の危険があるなら法執行機関から連絡があるはずだが来ていない」と語り、Tor URLを修復してサイトを復旧する予定だとした。

Kiwi FarmsのTelegram投稿