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なぜ“今どきのオジサン”は「Z世代」に優しいのか小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)

» 2022年09月14日 09時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

インターネットとともにあった“今どきのオジサン”

 ちょうど2000年に生まれた人は今年22歳で、大卒の新社会人年齢と合致する。まさにZ世代のど真ん中であり、ちょっと厳しくすればパワハラだのモラハラだの言われてしまうオジサン達にとっては、新社会人を腫れ物のように扱っているように見える。まさにオジサン受難の時代である。だが筆者の周りにいるオジサン達は、一生懸命Z世代のありようを理解し、そのまま受け入れようとしているようにみえる。それはなぜなのか。

 ここでは仮にオジサンを、2000年に22歳で新社会人だったぐらいの人たち、と設定してみる。現在44歳。失礼な、まだオジサンではないと憤る方もあろうかと思うが、すでに何らかの役職にあるならば、22歳の若者から見れば自分に一番利害関係のあるオジサンど真ん中層であるはずだ。

 そんな今のオジサンが新社会人になった2000年前後といえば、Windows 98の普及とともに家庭内にまでインターネットが普及し、近々Windows XPが登場する頃だ。「iモード」が大ヒットし、おぼろげながらモバイルインターネットの形が幕を開けた。

1999年にサービス開始した「iモード」

 一方で2000年3月卒に対しては、求人倍率がついに1倍以下となり、就職氷河期でも特に「超氷河期」と言われたタイミングである。「団塊ジュニア」と呼ばれた層の少しあとの集団であり、バブル世代に大量雇用された先輩達が前につかえて玉突き的にあぶれた、そんな人たちである。だから今、組織で活躍しているオジサンは、こうした激戦を生き残ってきた、相当優秀な人たちなのである。

 彼らは若手時代からケータイを使いこなし、いつでもどこでもメールで連絡が付く人たちだった。社会人2年目あたりで「mixi」が登場し、“mixi疲れ”するまでネットの人間関係にどっぷりハマり、2008年ごろにようやく訪れたスマートフォンの夜明けを30歳で経験している。「中堅」といわれるバリバリの33歳で東日本大震災を経験し、社会の再起動も経験した。

2010年ごろの「mixi」
2008年に発表された「iPhone 3G」

 一方で経理事務や勤怠管理をシステム化して効率を上げようとプレゼンしたら、「いいじゃないか。ヨシ、じゃあ今後はそれのプリントアウトを持って毎朝報告に来てくれ」とオジイチャン経営者に言われて「詰む」みたいな、旧世代とITの橋渡しをしようとして成功したり失敗したりしている年代でもある。

 つまり、「インターネットの主な出来事」を社会人として経験した層が、今の「オジサン」世代だ。SNSの勃興期に若者として積極的に参加したため、共感力が強く、ネットコミュニケーションにも積極的だ。そして自分の価値観が絶対に動かない、ITなぞ知らぬ上の世代からは「お前がオレに合わせろ」と社会に組み込まれ、全然こっちに合わせてくれないZ世代との間で、どうすりゃいいのと板挟みになっている。

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