そう考えると、スタンダードな「iPhone 14」は、「今年起こる進化をストレートに反映したモデル」といえそうだ。派手さはないし、iPhone 13を去年買った人にはちょっと変化に乏しい印象は否めない。
だが、Proは少し違う。
カメラやディスプレイ、GPSなどによりリッチなパーツを使い、「ハードウェアでも差別化する」のが狙いだ。2021年のモデルと比べても「カメラや処理性能」以外の魅力がある。
すぐに分かる違いは「常時点灯ディスプレイ」だ。
これは、Apple Watchで使われている「低温多結晶酸化物(Low Temperature Polycrystalline Oxide、LPTO)」という素材を使い、輝度などを落とした上でスリープ時の画面書き換え頻度を「毎秒1回」にして消費電力の低減と表示の両立を目指すものだ。
どんな表示になるかは、写真を見ていただいた方が分かりやすいだろう。時計やウィジェットなどが見えるほか、壁紙のイメージも何となく分かる。
他のスマホにも「常時点灯」機能はあるのだが、画面全体ではなく、時計や一部のアイコンなどを点灯させるものが多い。そういう意味では、ちょっと印象が変わって見える。
一方で、気になるのはバッテリー消費だろう。
3時間、常時点灯と消灯、それぞれのモードで放置して消費電力を確かめたが、常時点灯で「6%」、消灯で「3%」バッテリーを消費していた。
この差はかなり悩ましいバランスだ。あまり頻繁に充電しない人は「消灯」したくなるだろうし、デスクにいる間は充電している、という人なら気にしないだろう。
ディスプレイとしての新要素は「ダイナミック・アイランド」になる。
一言でいうなら「カメラ関連で隠蔽される領域をより狭くする」のが目的ではあるのだが、そこで単に面積を狭くするのではなく、周囲にアニメーションを表示させることで意味を持たせようとしているわけだ。
使い勝手は悪くない。
iOS 16からは、基本的な通知が「下から表示」になった。一方で、音楽アプリやタイマー、通話など「動き続けている」「つながり続けている」ものの通知は、小さくいろいろなところに分散しがちであった。そこで、ダイナミックアイランドに「継続的通知」の要素を持たせて、日常的に気にするのはその部分……という実装にしているのだ。
面白いし便利だと思う。
もちろん、この機能が「スマホを買う決め手」になるわけではなかろう。だが、「あると新しい」要素をトライして来るのは悪いことではないし、マイナス要素もあまり感じられなかったので、「良い変更」だと筆者は考える。
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