ITmedia NEWS > 製品動向 >

「iPhone 14」シリーズ先行レビュー “円安直撃”でも購入する価値はあるか(3/4 ページ)

» 2022年09月14日 22時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

「iPhone 14 Pro/Pro Max」の常時点灯ディスプレイは魅力的

 そう考えると、スタンダードな「iPhone 14」は、「今年起こる進化をストレートに反映したモデル」といえそうだ。派手さはないし、iPhone 13を去年買った人にはちょっと変化に乏しい印象は否めない。

 だが、Proは少し違う。

 カメラやディスプレイ、GPSなどによりリッチなパーツを使い、「ハードウェアでも差別化する」のが狙いだ。2021年のモデルと比べても「カメラや処理性能」以外の魅力がある。

 すぐに分かる違いは「常時点灯ディスプレイ」だ。

 これは、Apple Watchで使われている「低温多結晶酸化物(Low Temperature Polycrystalline Oxide、LPTO)」という素材を使い、輝度などを落とした上でスリープ時の画面書き換え頻度を「毎秒1回」にして消費電力の低減と表示の両立を目指すものだ。

 どんな表示になるかは、写真を見ていただいた方が分かりやすいだろう。時計やウィジェットなどが見えるほか、壁紙のイメージも何となく分かる。

【クリックで拡大】左から通常時と常時点灯モード。暗くはなるが、時計やウィジェット、写真の大まかな印象などは分かる

 他のスマホにも「常時点灯」機能はあるのだが、画面全体ではなく、時計や一部のアイコンなどを点灯させるものが多い。そういう意味では、ちょっと印象が変わって見える。

 一方で、気になるのはバッテリー消費だろう。

 3時間、常時点灯と消灯、それぞれのモードで放置して消費電力を確かめたが、常時点灯で「6%」、消灯で「3%」バッテリーを消費していた。

 この差はかなり悩ましいバランスだ。あまり頻繁に充電しない人は「消灯」したくなるだろうし、デスクにいる間は充電している、という人なら気にしないだろう。

小さくするだけじゃなく役割を持たせた「ダイナミック・アイランド」

 ディスプレイとしての新要素は「ダイナミック・アイランド」になる。

 一言でいうなら「カメラ関連で隠蔽される領域をより狭くする」のが目的ではあるのだが、そこで単に面積を狭くするのではなく、周囲にアニメーションを表示させることで意味を持たせようとしているわけだ。

左がiPhone 14 Proで、右がiPhone 13 Pro Max。ダイナミック・アイランドはノッチより小さくなった。
iPhone 14(左)とiPhone 13 Pro Max(右)を並べると、ノッチサイズは同じ。

 使い勝手は悪くない。

 iOS 16からは、基本的な通知が「下から表示」になった。一方で、音楽アプリやタイマー、通話など「動き続けている」「つながり続けている」ものの通知は、小さくいろいろなところに分散しがちであった。そこで、ダイナミックアイランドに「継続的通知」の要素を持たせて、日常的に気にするのはその部分……という実装にしているのだ。

 面白いし便利だと思う。

 もちろん、この機能が「スマホを買う決め手」になるわけではなかろう。だが、「あると新しい」要素をトライして来るのは悪いことではないし、マイナス要素もあまり感じられなかったので、「良い変更」だと筆者は考える。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.