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独立したての日本人デザイナー、NFTで6000点完売 カズシフジイと“コラージュ”の潮流(1/4 ページ)

» 2022年09月20日 14時30分 公開
[林信行ITmedia]

 「Web3」と総称されるトレンドの中でも、「NFT」(Non-Fungible Token)は、良くも悪くも最も注目される技術だ。最近では地方自治から医療、自動車の販売などさまざまな形での応用が広まっているが、やはり最も大きな注目を集めているのはアート作品の販売における活用だ。

 そして、アート×NFTの中でも新たなトレンドとなっているのが「コラージュアート」という領域だ。この領域でいま注目を浴びているのが、NFTクリエイター・コラージュデザイナーとして活躍するカズシフジイこと藤井一志さん(以下、カズシフジイ)。これまでに6000点以上のNFT作品が売れたという。

 デザイン会社を設立したばかりのカズシフジイがどのように道を切り拓き、これからどのように進もうとしているのか。7月に開催された「NFT Summit Tokyo」(大田区産業プラザ)で彼が語ったことを基に、その足跡を追ってみたい。

独立後の新たな道はとあるコンテストと「コラージュアート」から

カズシフジイ。1979年広島生まれ。広島在住。穴吹デザイン専門学校卒業。穴吹デザイン専門学校卒業制作にて最優秀賞を受賞。2つの会社でグラフィックデザイナーとして20年勤務後、2019年、フリーのグラフィックデザイナー・アートディレクターとして独立

 学生の頃からグラフィックデザインを目指していたカズシフジイ。デザインの専門学校に通った後、2社のデザイン事務所に合計で20年ほど勤め、企業のロゴやポスター、チラシなどのデザインを手掛けていたが、2019年ごろからフリーのグラフィックデザイナー・アートディレクターとして独立することを考え始めていた。そんな中、2019年にストック素材サービス「Adobe Stock」を用いたコラージュ作品の募集を目にする。

 それまでコラージュ作品作りは手掛けたことがなかったというが、挑戦をしてみたところ、「The Hovering Art Director!〜アートディレクターからの挑戦状〜」「Adobe Stockコラージュコンテスト〜不思議な夏休み〜」といったコンテストで立て続けに優秀賞を受賞。その後も「左ききのエレン ポスター制作コンテスト」などの受賞を続け、一躍注目を集めるようになった。

2019年5月に行われたAdobe Stockのデザインコンテスト「Adobe Stockコラージュコンテスト〜不思議な夏休み〜」で優秀賞を受賞した作品

 念願の独立を果たして2年以上が経った現在のカズシフジイ。仕事の比率を見てみると、いまやかつてやっていたようなグラフィックデザインは1割かそれ以下という。

 「ポスター、チラシ、ロゴの製作といったいわゆるグラフィックデザインの仕事の割合は全体の1割以下で、実は残りの半分くらいがコラージュ作品の制作。半分くらいがNFT作品作り」(カズシフジイ)

 コラージュ作品の仕事では、Webページなどのキービジュアルの他にアイドルグループの「アー写」(宣伝のために公式に提供するアーティストのプロフィール写真)も多く手掛けており、そのアー写コラージュが渋谷を走る広告宣伝カーに使われたこともある。

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