コラージュのアートといえば、20世紀初頭、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックがキュビスムの表現として取り入れ、その後、シュールレアリストたちの間に広がっていった表現手法だ。
「その時代のコラージュは、写真を実際にアナログで切って貼って作っていましたが、そのまねにならないように最新技術を使っていくということは意識しています」とカズシフジイ。
カズシフジイがコラージュ作りに利用しているソフトは、画像編集ソフトとしての地位を確立している米Adobeの「Photoshop」。同社も、ここ1〜2年でカズシフジイを中心にじわじわと広がっているコラージュのムーブメントに注目しているという。
Photoshopはユーザー数が多いこともあり、ユーザーがその技を競うようにしてソーシャルメディアで発信している。中にはコラージュの詳しい作り方をYouTubeにまとめた動画がSNSでバズった人もいるという。
カズシフジイは以前と比べた現在のコラージュの盛り上がりをこう振り返る。「僕が始めたばかりの頃には、他に1〜2人しかそうした創作をしている人を見掛けなかった。今は特にそういうコミュニティーを作っているというわけでもないけれど、コラージュを作っている人が本当に増えていて、主婦の方から、本業はWebの制作や映像制作といった人々など知っているだけでも20人ほど、コラージュ作品を作ってソーシャルメディアで発表する仲間が増えている」
「皆、作品の作り方にそれぞれの個性があって、作品を見ただけで『これはこの人だな』と分かる。使う素材にも個性が出ますし、合成の方法だったり、最終的な色とか質感あたりにも個性は出ますね。人によって表現したいものが異なるので、昔の絵画を集めてきてコラージュしてクラシカルな雰囲気を出している人もいますし、ポップなものばかりを使って明るい雰囲気を出す人もいる」
では、彼自身のこだわりはどんなところにあるのか。
「僕のこだわりは色彩のバランスと素材を多く使うことかも知れません。たくさんの素材をバランスよく組み合わせて、パッと見でインパクトのあるコラージュを心掛けています」
独立するや否やコラージュという新しいトレンドを広めるのに貢献したカズシフジイだが、チャレンジはそれだけに止まらず、最近ではNFT作品の販売にも力を入れている。そこに至るまでの経過が面白い。
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