こんにちは。SFプロトタイパーの大橋博之です。
この連載では、僕が取り組んでいる「SFプロトタイピング」について語ります。SFプロトタイピングとは、SF的な思考で未来を考えた上で、実際にSF作品を創作して企業のビジネスに活用することです。
この記事ではSFプロトタイピングの実践事例として、日本科学未来館が2022年9月11日に実施したSFプロトタイピングのイベント「ことばでえがく「未来の日常」」を紹介します。
イベントの様子を見学させていただき、その後にファシリテーターを務めた同館の科学コミュニケーターである三澤和樹さんと宮田龍さんにお話を伺いました。
今回のイベント、ことばでえがく「未来の日常」を発案したのは宮田さんでした。きっかけはSFプロトタイピングに精力的に取り組む大澤博隆准教授(慶應義塾大学)や科学文化作家の宮本道人さんとの出会いだったといいます。
「SFプロトタイピングに詳しい大澤博隆先生や宮本道人先生とお仕事をする機会が3年ほど前から増えており、そこでSFプロトタイピングを知りました。私もお二人が手掛けるSFプロトタイピングの研究プロジェクトに参加しています」(宮田さん)
そんな宮田さんから話を聞いた三澤さんもSFプロトタイピングに興味を抱き、今回のイベントにつながりました。
「SFプロトタイピングを日本科学未来館のワークショップとして行えないかと宮田さんと相談しました。普段からワークショップは数多く行っていますが、親子や子ども向けのものばかりです。大人向けの難易度の高いワークショップは初めての試みでした」(三澤さん)
初めての試みになった今回のワークショップは、何を目的に企画したのでしょうか。その意図を聞いてみました。
「企業や行政向けのワークショップとは違い、初めての会う人が集まります。どういうテーマにすると限られた時間のなかで楽しくやれるか、未来についての考え方やアプローチ方法の一つの選択肢を提供できないかと考えました」(宮田さん)
宮田さんがこう話す背景には、日本科学未来館が2022年7月8日に発表した新たなビジョンがあります。2030年を念頭に置いたもので、コンセプトは「Mirai can _!未来は、かなえるものへ。」です。人の視点から未来を捉え、一人ひとりが自分事としてかなえたい未来を思い描き、作っていくためのプラットフォームを日本科学未来館が目指していくという思いが込められています。
その一環としてSFプロトタイピングを活用することになったそうです。「未来はかなえるものというコンセプトを、ワークショップを通して伝えていきたいと考えました」(宮田さん)
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