一方、中小のNFTマーケットプレイスは実質的な二次流通サービスを提供し、一儲(もう)けしたいユーザーでにぎわっている。運営企業にとっても、ユーザー同士の売買で手数料を取ることで、収入をあげられる。ただ、こういった運営は限りなく黒に近いグレーゾーンである。大手のマーケットプレイスでも、無償譲渡する機能があれば、銀行口座振り込みやモバイル決済の送金を通じて裏で金銭のやり取りはできる。
短期的な利益だけを狙いNFTマーケットプレイスを開いた中小スタートアップも少なくない。中国メディアによると、22年7月時点でNFTマーケットプレイスは998あるが、うち639が22年に立ち上がったという。
22年7月には「EV企業がデジタル資産を発行する。それを買えば5〜8倍に値上がりする」と投資セミナーの受講者から資金を集める詐欺が表面化し、名前を使われたEVメーカーが「当社はデジタル通貨、NFTに一切関与していない」と声明を出した。
中国新興EVメーカー「御三家」の理想汽車(左)と上海蔚来汽車(NIO、右)による声明。理想汽車は「当社はいかなる仮想通貨もNFTも発行せず、関与していない」、NIOは「当社はいかなる仮想通貨も発行していない」としているNFTは一見して非常に盛り上がっているが、実態は流行に乗じてもうけたい企業とユーザーの賭場のようになっており、今の状況だと、仮想通貨と同様にNFTが突然「違法」になり、マーケットプレイスが強制閉鎖されるシナリオは十分に考えられる。
業界では「テンセントは規制強化を察知していち早く撤退した」ともささやかれている。
仮想通貨禁止する政府、位置づけはグレーゾーン<中国NFTマーケット事情・前編>
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