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東京都下水道局が「下水道がない世界」を想像? SF作品公開 舞台は2070年 SFが解決する行政課題とはSFプロトタイピングの事例を紹介(2/3 ページ)

» 2022年10月19日 07時30分 公開

SFプロトタイピングの進め方

 参加者が集まったところで、実際にSFプロトタイピングを進めていきます。東京地下ラボ事務局が中心になって、次のようなプログラムで進行しました。

 SFプロトタイピング プログラムのスケジュール

【1】トークイベント(2021年11月9日)

 まず「SFプロトタイピングで描き出す、下水道と都市の未来」をテーマに、私達の生活の在り方を未来視点で考えていきました。講師はSF作家の小野美由紀さんと、クリエイティブ集団「PARTY」のクリエイティブディレクターである伊藤直樹さん、WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所が務めました。

トークイベントのダイジェスト版

【2】ワークショップ(2021年11月27日)

 次にSFプロトタイピングの手法を用いて、未来視点の発想から事業アイデアを考える方法などを学び、未来の下水道に関するアイデアを考えていきました。講師はWIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所と小野さんです。このワークショップは会議室で対面で実施しました。

photophoto ワークショップの様子

【3】フィールドワーク(2021年11月28日)

 そして下水道施設の見学を通じて、下水道の過去から現在までの役割を学びました。見学場所は旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設と、東京湾の第三台場、虹の下水道館の3カ所です。東京湾周辺のフィールドワークでは、専門家を招いて下水道との関係が深い自然環境や生態系を観察したといいます。

photophoto 旧三河島汚水処分場喞筒場施設で実施したフィールドワークの様子
photophoto 東京湾の第三台場で実施したフィールドワークの様子

【4】成果報告会(2022年2月14日)

 最後に参加者が作った作品の報告会です。オンライン形式で、各自がSFプロトタイピングを活用して創造した作品をプレゼンテーションして、作品の意図や想像する未来の世界をアピールしました。

 SFプロトタイピング 成果報告会の様子

個性豊かで多彩な想像力と表現力が光る、計7作品がそろう

 学生たちが発表した作品は小説やイラスト、映像作品など個性豊かで多彩な想像力と表現力が光る計7作品がそろいました。作品は全てWebサイト上で公開しているので、誰でも閲覧できます。

photophoto 左:絵日記「『いま』と『みらい』の日記」/作:井上葉月さん(多摩美術大学)
右:3Dイラスト「培養食べ物細胞」/作:木島優美さん(東京医科歯科大学)
photophoto 左:3Dアニメーション「Other Sides of The Float -2070 年の海上都市と下水道-」/作:浦田泰河さん(東京大学)
右:小説「50年後の箱船(シェルター)のこどもたちへ」/作:金雪芽さん(東洋大学)
photophoto 左:漫画「帰途」/作:高橋絵さん(東京藝術大学)
右:アニメーション「Mystic Drops」/作:明治大学 総合コンテンツ制作サークル
photo 3D建築モデル「TOKYO STA. PROTOTYPING 都市の SF プロトタイピングと下水道局の 2070」/作:GO IZUMITAさん、SOYA OGAWARAさん、REI SATOさん、ANRI FUJIIさん(武蔵野美術大学)

 そして成果報告会では、東京都下水道局とWIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所、参加学生の投票の結果、海上都市の様子を描いた3Dアニメーション「Other Sides of The Float-2070年の海上都市と下水道-」がグランプリ作品に選ばれました。また小説「50年後の箱船(シェルター)のこどもたちへ」が審査員特別賞を受賞しました。

 学生の作品の他に、コンテンツクリエイターの藤原麻里菜氏と堀道広氏、町田メロメ氏が特別参加しています。それぞれが下水道をユニークに表現した作品を制作しました。

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