「Zuvi Halo 光ヘアケアドライヤー」は、製品名からも分かる通り、熱ではなく光によって髪を乾かすというヘアドライヤーだ。最初にその情報に触れた時は「何、それ?」と思った。光で乾かすという言葉の意味がよく分からなかった。
分からないけど、試してみる機会があったので、使ってみたら、確かに熱い風は出ないのに、髪はちゃんと乾く。しかも、なんというか、しっとりとした感じを残したまま乾くので、髪が痛んでいる感じが少ない。この手の新製品に懐疑的な妻が珍しく「これはいいね」と言うのにも驚いた。
資料によると「雨上がりの水たまりが太陽の光で蒸発するのと同じ原理」だというのだけど、どうもピンと来ない。いや、確かに、別に高温でなくても水たまりの水は蒸発するし、晴れれば濡れた道路も結構すぐ乾く。だからといって、それが髪が乾く理屈になるような気がしないのだ。考えていても仕方がないので、とにかく、取材を申し込んで、このドライヤーの仕組みについて話を聞いてきた。
Zuviの日本での代理店であるZuvi Japanの代表取締役、川中良之さんは「この製品は、Zuviが家電メーカーとして発足して最初の製品なんです。2021年の8月にコードレスタイプを発売して、2022年1月にこのコードが付いている製品を出したばかりの新しいメーカーです。創業に当たって、日々使うものを作りたいということ、その中でも、根本的に原理から見直すことで、使い勝手を変えていけるものがあるのではないか、ということを考えたそうです」と開発経緯について話してくれた。
ドライヤーに行き着いた背景については「ドライヤーという道具が、19世紀初頭に作られたその最初から、コイルと抵抗を使って熱を発するという仕組みが使われていて、それが今も現役であるということがありました。その仕組みではない技術を使えば、この当たり前にある製品を抜本的に変えられるのではないかと考えたんですね」と川中さん。
その時に思いついたアイデアが、太陽の光と風によって洗濯物や塗れた道路が乾く、自然の乾燥の原理だった。そこを起点に、太陽光の何が乾燥につながるのかなど研究を重ねて辿り着いたのが、近赤外線から中赤外線の下の方あたりの光が水に吸収されて、そのまま蒸発するという原理。ただ、それだけでは乾燥に時間がかかってしまうので、そこに風で水滴を吹き飛ばす方法を加えた。
川中さんは続ける。「ダイソンさんのドライヤーなどもそうですけど、風で水滴を吹き飛ばすという発想も、1つのドライヤーの新しい原理です。この製品も、1分あたり10万5000回転の自社開発モーターを搭載しています。ダイソンさんのモーターが11万回転ですから、風量だけで見ても遜色はないと思っています。この風量で髪表面の水滴を吹き飛ばしつつ、光で蒸発させているのが、このドライヤーです」。
そして、光については、光源から近赤外線を効率的に取り出すための、120層に及ぶチタンによるミラーコーティングが構造上のポイントになっている。このミラーコーティングによって赤外線は取り出されるが、紫外線などの他の波長の光はほとんど外に出ないため、光としても安全なものなのだという。ドイツのTUV Rheinland(技術、安全性などに関する認証機関)という試験機関でのテストで、安全な光であるという検証も済ませている。
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