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光で髪を乾かすドライヤー「Zuvi Halo」、販売元に聞いたその原理と“向き不向き”分かりにくいけれど面白いモノたち(3/3 ページ)

» 2022年10月27日 08時00分 公開
[納富廉邦ITmedia]
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スタイリング的な使い方には向かない

 もっとも、熱を使うドライヤーに比べると、やや乾きは遅いような気がするので、トータルの消費電力がどうなっているかはよく分からない。とはいえ、使用時の熱風によるストレスが少ないせいか、ドライヤーを離したり、途中で休んだりといったこともないので、実感として乾くのに時間がかかっているという気はしない。

 川中さんによると、髪を乾かす時には若干のコツがいるという。「あまりドライヤー自体を振り過ぎずに、光を渇かしたい部分に当てるという意識で使ってもらえればと思います。その分、説明がいる製品なのですけど、新しい技術の製品なので、そこは丁寧に告知していきたいところです。あと、やはり熱を出さないので、いわゆるスタイリング的な使い方には向きません。一応、日本発売分には、スタイリング用の風を集中させるパーツも付けていますが、やはり、熱を使うドライヤーのようにはいきません」。

低温なので、子どもが嫌がらないというのもメリットとして大きい(写真はコードレスタイプ)。個人的には「ドライヤーしなきゃ」という心理的ハードルが下がるのが一番のメリットだった

 かつて赤外線で乾かすドライヤーというのはあったのだけど、それは、遠赤外線による熱で乾かすものだった。Zuviは、近赤外線を中心にした光なので、乾かすプロセス自体が違うのだ。というか遠赤外線利用は、熱で乾かすタイプの仲間だ。

 あと使っていて、音もやや静かなような気もしたのだが、聞いてみると65dbくらいに抑えるようにしているものの、静音性をうたう程ではないという話だった。出るノイズの音域が高いので、あまりうるさく感じないという事なのかもしれない。

 ダイソン同様、創業者のMingyu Wang CEOは技術者上がりで、商品企画も技術者主導で行うメーカーだという。いかにもそういうメーカーが作りそうな製品だと思う。

 面白いのは、先にコードレスタイプを発売したもののバッテリー駆動時間などの課題もあり、後からコード付きのタイプを出したというところ。コードレスは子どもがいる人や場所を問わず使いたい人、髪が短く短時間しか使わない人などには便利だし、コードがない分、片づけやすいというのはあるが、実用性や使用シーンを考えると、コード付きで構わないという人が多いのも頷ける。なんでもコードレスの方が良いというわけではない例としても面白い。

 なんというか、新しいアイデアと技術を使いながらも、ドライヤーの基本機能である、髪を乾かす機能に特化したシンプルさが良い方向に出た製品だと思う。熱くない分、子どもが嫌がらないという利点もある。何となく、怪しい製品のような雰囲気だし原理は変わってるけど、製品としてやってることはいたって普通というあたりが、とても面白い。ある意味、髪の乾かし方の概念を変える製品なのだけど、我が家での使い方ならこれまでのドライヤーの中で一番合っていたということで、個人的には気に入っているのだ。

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