「たくさんのユーザーがAdobeのサブスク形式での支払いを喜ばしく思っていない。買い切りできる点はユーザーの好評を得ている」──写真加工ソフトやデザインソフトを提供する英Serifのアシュリー・ヒューソンCEOは11月16日(日本時間、以下同)の記者会見で、米Adobeなど競合に対する自社製品の強みについてこう強調した。
Sherifは9日、写真加工ソフト「Affinity Photo」、デザインソフト「Affinity Designer」、DTPソフト「Affinity Publisher」をそれぞれアップデートした。順にAdobeの「Photoshop」「Illustrator」「InDesign」に似た機能を持った製品だ。旧バージョン同様、いずれもサブスクリプションではなく買い切り型で提供している。
価格はどれもWindows/Mac版が1万800円、iPad版が3200円。旧バージョンのWindows/Mac版は6000円台だったので、4000円程度値上げしている。月々払いの場合、Illustratorなど多くのプランは月額3828円なので、3カ月分の利用料金より少し安くなる計算だ。3ツール全てを使える「ユニバーサルライセンス」も2万6800円で発売した。
Adobe製品については価格に不満を持つユーザーもおり、SNSでは値上げのタイミングなどで「アドビ税」「増税」と揶揄(やゆ)する声も見られる。一方でヒューソンCEOはAffinityシリーズの販売形式や料金について「競争優位性がある」と説明した。
実際、Affinityシリーズのユーザーはコストパフォーマンスを重視する傾向があるという。ユニバーサルライセンスの価格設定について、ヒューソンCEOが「12月14日までのセール価格(1万5800円)であれば『Adobe CC』2カ月分ほどの料金で全て利用できる」と比較する場面もあった。
新バージョンの登場に合わせ、日本での展開も加速したいとヒューソンCEO。日本市場の特徴としては、他国に比べiPad版の利用が多い点が挙げられるという。Affinityシリーズではこれまで、写真加工のAffinity PhotoとデザインのAffinity DesignerでしかiPad版をリリースしていなかった。
しかしアップデートに合わせてDTPのAffinity PublisherでもiPad版を発売した。ヒューソンCEOは「AdobeだとInDesignはiPadをサポートしていない。そういった差がAffinityの強みになるのでは」としている。
「正直なところ、日本ではあまりマーケティング費用をかけてこなかった。しかし実際には口コミで広まり、近年は売り上げが増えている。日本でもマーケティングに投資をして、プロダクトの評判を広げていきたい」(ヒューソンCEO)
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