大学の学費が高騰する中、奨学金の重要性が増している。日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、日本の大学生の約半数が、奨学金を受給しているという。
ニーズが増える一方で、財団などによる奨学金の運営は驚くほどアナログだ。メインの広報手段は大学の掲示板、申し込みは手書き・郵送が中心。受給生の管理も、Excelと手作業で行われているケースが多いという。
“アナログすぎる”奨学金をDX化し、お金の心配をせずに高等教育を受けられる世界を実現したい――奨学金マッチングサイトを運営するガクシーは、こんな理想の基に立ち上げられたベンチャー企業だ。
「日本の学生は、一番厳しい状況ではないか」。ガクシー代表の松原良輔さんは言う。「海外のトップ大学の学生は、お金のことをほとんど心配していない」
松原さんは、三井化学に勤務した後、2008年に人材ベンチャー・ジョブテシオを創業し、17年に売却。19年にガクシー(当初の社名はSCHOL/スカラ)を創業した連続起業家だ。
前職で海外の新卒人材と多くふれあう中で、日本との違いを痛感したという。海外では、奨学金が充実していたり、国が高等教育に多くの費用を出していたりするため、トップ校の学生ほど、お金の心配をしていないという。
だが日本は違う。高等教育への公的補助が薄いため、トップ校の学生でも、生活費のためにアルバイトに時間を割かれがちだ。松原さんが2度目の起業で“奨学金ベンチャー”という異色のビジネスを選んだのは、そんな現実を変えたいと思ったからだ。
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