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最大4%還元のメルカードに申し込んでみた でも……私の還元率、低すぎ?(3/3 ページ)

» 2022年11月18日 18時40分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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意外と使える? +8%還元

 メルカリ内の最大4%が話題だが、実は「毎月8日」なら+8%還元というのも面白い。記者の場合、メルカリ内なら10.4%還元になるし、外で使っても9%還元だ。実はこの還元のほうが使い勝手がいいかもしれない。

 還元上限が毎月300ポイントなので、3750円で上限に達してしまうが、1回の利用額としては比較的手頃だ。この日は「買い物が300円引き」だと思うと、案外お得にも感じる。

 ちなみにこの”8日”は、サステナブルを意味する“∞”にちなんだそうだ。品物もマネーも循環させることを目指すメルカリらしい取り組みだともいえそうだ。

給与デジタル払いへの布石?

 さて、メルカリにとってのメルカードの狙いはシンプルで、1つにはメルカリでの決済手数料を削減することだ。メルカリ内でモノが売れたとき、メルカリは加盟店として3%前後の決済手数料をカード会社に支払わなければならない。

 自社発行のカードを使ってもらうことで、これを抑えられるなら、そこそこのポイントを還元しても、コスト削減に意味がある。メルカリ内でのアクティビティによって還元率を変化させることで、もっとメルカリを使ってくれるなら、販促効果だって期待できる。

 一方で、自社でカードを発行するのはそんなに簡単ではない。例えば、誰に発行していいかを審査するいわゆる与信は、カード会社のノウハウの塊だ。自社でこれを行うのは大変で時間もかかるので、提携カードという形で既存カード会社に発行してもらい、自社のブランドだけをかぶせる例も多い。

 メルカードが自社発行できた理由の一つは、メルペイスマート払いを通じて与信ノウハウを貯めてきた点が大きい。信用情報機関の情報とメルカリ内の行動情報を通じて、与信を可能にしたことがメルカードにつながったといえる。

 もう一つ、密かに記者が面白いと思っているのが、カード代金をメルカリの残高で精算できる点だ。通常はカード利用代金は翌月の決められた日に、銀行口座から引き落とされて精算されるのだが、メルカードはメルカリ残高で早期精算できる。

 これには2つの意味があると考えている。1つは、これによって外部の銀行なしでクレジットカードが回るようになる。つまりメルカリにとっては、銀行引き落とし手数料が不要になる。そして2つ目は、給与デジタル払いに向けた布石となり得る点だ。

 給与デジタル払いのメリット・デメリットはいろいろと言われているが、定期給与をもらっている人にはあまり意味がない。給与は日々の買い物などの決済に使うだけでなく、家賃やら公共料金の支払い、カードの精算などにも使う。ところが、銀行振り込みや公共料金の引き落とし、カードの精算は、現状、銀行以外では難しいのだ。

 もちろん、法的または技術的に難しいという話ではないが、いろいろなところと接続して自動引落を可能にするのは一朝一夕にはできないということだ。

 メルカードでは利用代金の精算をメルカリ残高で行える。これは給与をメルカリ残高として受け取るようになったとき、銀行口座と同じようにさまざまな精算に利用できる一手だともいえるのかもしれない。

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